忠臣蔵 |
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■公開:1958年 |
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テレビで「忠臣蔵」が話題になるときそのBGMのほとんどは、 NHKで長谷川一夫が主演した「忠臣蔵」の主題曲、だけど本当の本物のルーツは本作品。 ストーリーは、何を今さらだけど、一応、知らない人がいるかもしれないので説明する。 赤穂藩の殿様、浅野内匠頭・市川雷蔵が勅使供応役に任じられたのがそもそもの不幸の始まりなのだった。赤穂の特産物である塩の製造法をめぐって吉良上野介・滝沢修から度重なるいやがらせを受けた内匠頭はついにキレて、江戸城松の廊下にて吉良に斬りかかる。 五万石の大名が起こした刀傷事件は、喧嘩両成敗の原則に基づき、両者に咎めがあってしかるべきだと言う目付、多門伝八郎・黒川弥太郎の進言を退け、内匠頭だけが切腹になるように仕向けたのは、吉良と裏で結託していた柳沢吉保・清水将夫。 浅野家の家老、大石内蔵助・長谷川一夫は、浮き足立つ家臣達に、最初は篭城、次は切腹と次々に指示を変更したため、愛想をつかした大半の者は城を去ってしまう。殉死を選択した70名の同士に対して、大石は、城を脇坂淡路守・菅原謙次に明け渡した後、吉良に復讐する覚悟であると告げた。 大石の浅野家再興の嘆願も柳沢によって握りつぶされた。大石は吉良上野介の実子である、上杉家の当主・船越英二と、その懐刀である千坂兵部・小沢栄太郎らが抱く「討ち入り疑惑」を解消するために、山科の遊女・木暮美千代と遊びまくって仇討ちの意思がなくなったかのように振る舞う。 千坂の隠密で大石家の使用人に化けて潜入していた岡平・千葉敏郎は「仇討ちの意思が無い」と報告するが、信じられない千坂の命令により、女の隠密・京マチ子が大石暗殺に向かうが失敗、替りに斬りかかった岡平は大石の部下の手によって殺された。 吉良家の用人で剣豪の清水一学・田崎潤は岡平とは同期の桜だったので、大石暗殺に執念を燃やす。 大石は他家の用人になりまし武器を運んで江戸へ来る途中、本物・中村雁治郎とハチあわせするが武士の情けで、本物の通行手形をもらって難を逃れる。江戸の同士は徐々に数が減ってとうとう四十七人になっていた。 岡野金右衛門・鶴田浩二が大工の娘・若尾文子を騙して吉良邸の絵図面を手に入れるように同士に説得されるが、色男だけど根は純情な岡野にはどうしてもそれができない。しかし、母親を捨ててまで仇討ちに参加しようとする与茂七の姿を見た岡野は泣きそうになりながら娘に嘘をついて絵図面を持ち出させる。父親の大工・見明凡太郎は岡野の正体に気付いたが見逃してやる。 ついに討ち入りの日が来た。死闘の末、炭小屋に潜んでいた吉良上野介の首を取った一行は両国橋にさしかかったところで、この討ち入りを陰ながらサポートしていた多門伝八郎に出会って礼を言い、彼のアドバイスに従って、無事、永代橋を通って泉岳寺へ向かうのだった。 長谷川一夫というのは、ただの看板俳優、重役俳優ではない。自他ともに認める日本映画史上ぶっちぎりの大スタアである。従って、他社が大勢のスタアの顔見せ興行的であるのに対し、本作品はあくまでも「長谷川一夫の忠臣蔵」である。 市川雷蔵もその柳眉な流し目の前では見事にかすんでしまう(雷様のファンは別)。あの(当時はそれほどでもないが)勝新太郎でさえ、勝田重蔵という味のある役どころではあるけれども、まったくスミッコへ追いやられる。根上純や川崎敬三なんか「いたっけ?」てなもんである(そこまでヒドくはないが)。 どうなんだろうね、その割には長谷川一夫というのはイマイチ後世での評価が低いような気がする。文芸大作とか社会派劇とか、いわゆるゲージュツしてなかったせいかもしれないが、娯楽映画の世界では神様と呼んでもさしつかえのない、実力と実績とルックスを持った、最高の日本映画スタアである。 従って、長谷川一夫が嫌いか、または全然知らない人にとってはかなりどうでもいい映画、、とはならないところが大映映画の底力。 大映の美術力は実に素晴しい。きらびやかな、かつ、下品でないセットや調度。それに浮世風呂の生活感、どちらも役者の芝居を超越して立派に「出演」している。衣装を含めてこういう見どころもちゃんとあるので安心しよう。 (1999年12月05日) 【追記】 |
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※本文中敬称略 |
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file updated : 2003-05-31