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ギャング忠臣蔵


■公開:1963
■制作:東映
■監督:小沢茂弘
■助監:
■脚本:松浦健郎
■撮影:
■音楽:
■美術:
■主演:片岡千恵蔵
■寸評:こらっ!東映、こらっ!


 北九州を牛耳る浅野組組長の浅野卓巳・高倉健は、元広域暴力団で今は総合商社となっている柳沢総業社長・柳永二郎の娘・三田佳子と結婚。新婚旅行先のパリで肺病のやくざ岡星・鶴田浩二を助けた高倉健は東京での再会を誓って別れた。

 パリのホテルを訪ねてきた吉良産業社長・安部徹は、柳永二郎が決めた三田の元・婿候補。ところが三田が高倉とラブラブになったので、柳が折れて、安部はフラれた、という因縁。喧嘩ならまだしも色恋沙汰となると容姿にコンプレックスがある(役どころの)奴の執念は濃い。

 その頃、浅野組専務の大石・片岡千恵蔵は、同窓会で親友の警視総監・山村聡から、吉良産業に気をつけるようアドバイスを受けていた。吉良産業のバックには、大物政治家の徳田・月形龍之介がついているらしい。おまけに吉良産業は事業拡大のため、麻薬取り引きをしようとしていたのだった。

 安部徹は、不良外人の商社社長・エド・キーンから二人の用心棒、ファイティング清水(本名は清水一学)・丹波哲郎と、マイク小林・山本麟一という日系二世の殺し屋を預けられ、麻薬の取扱に反対する柳永二郎を脅迫することにした。

 エド・キーンの歓迎パーティーの夜、タキシード着用を知らせない、という安部徹のみみっちいイヤガラセで窮地に追い込まれた高倉健だったが、部下の堀部・進藤英太郎、大高・今井健二、岡野・梅宮辰夫らの機転で、こっそり用意されていたタキシードに着替えて事無きを得た。

 会場はホテル・オークラ(実名で登場)、ホテルなんだから貸衣装くらいあるだろうが?というようなオチでは「本歌取り」映画にならないので、とりあえず納得しなさいね。

 義父の柳永二郎から安部徹の陰謀を聞かされた高倉健は、ホテルオークラの廊下で安部を撃つがトドメを刺す前にボーイに化けて張り込んでいた刑事に取り押さえられ逮捕されてしまう。収監中の高倉健は差し入れの毒入りサンドイッチで暗殺され、月形の圧力により、重要参考人として身柄を拘束されていた安部徹は釈放。

 浅野がどうやって死ぬのかと思ったら毒殺とは、こりゃ一本取られましたな!

 悲報がもたらされた浅野組の地元では、吉良産業に唆された玄海グループ組長・内田良平がさっそく、ちょっかいを出してくるが、浅野組の若衆・千葉真一曽根晴美亀石征一郎らの活躍でなんとか収まる。

 浅野の葬儀に堂々と姿を現わした安部徹、お供の丹波哲郎はなぜか白と黒のド派手な水玉模様のスーツで登場。さすが日系二世、やることがわかわからん。この映画の丹波哲郎はただニヤニヤ笑っているだけなのだが、それだけでも「オッ出た!」と客は満足できるんだから、凄い人だよね。

 柳永二郎は山本麟一の手によって暗殺され、柳沢総業の全権は安部徹が掌握。安部は柳沢総業の傘下である浅野組の不動産資産の名義変更と銀行預金の全額差し押さえを片岡千恵蔵に迫った。

 千恵蔵は浅野組が経営するホテルに部下を集め、残った銀行預金を分配した現金を取って堅気になるよう子分に申し渡す。大野経理部長・花沢徳衛も去り、120名いた子分は、とうとう47名になる。

 そこへ玄海グループと吉良産業、総勢130名がなだれ込んできた。激しい銃撃戦だったが、気合いに勝る浅野組がついに敵を押し返す。しぶとい安部徹とその腹心・神田隆は、丹波哲郎の手によって救出されまんまと敵前逃亡。

 千恵蔵は責任を取って逮捕されるが、再び山村聡の尽力で釈放。山村は千恵蔵と安部徹の共倒れを狙っていた。警視総監とやくざの親分が友達なんて、世が世なら大騒ぎであるが、山村聡は国会答弁で「やくざは義理人情を大切にする、本当に悪いのはそのやくざを使って金儲けをしている奴だ!」と、月形を喝破するのである、けだし名言。

 浅野組長の墓前には、病気が治った鶴田浩二も姿を見せた。残った部下47名に対して千恵蔵は吉良産業への復讐を高らかに宣言するのだった。

 おおっーと、ここまでが第一部か、これからが見所なんだが、ま、いいか、、。

 そう思った観客は、その後、36年経過した現在まで第二部の出現を心待ちにしているのである、わけないんだけど、、、、ったく東映って奴は。この第二部以降を見た事があるぞっ!という方は当方までぜひご連絡ください、「そりゃ良かったね」と褒めてあげます。

1999年11月16日

【追記】

※本文中敬称略


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■日のあたらない邦画劇場■

file updated : 2003-05-17