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ろくでなし野郎


■公開:1961年
■制作:日活
■監督:松尾昭典
■助監:
■脚本:星川清司
■撮影:
■音楽:鏑木創
■美術:
■主演:二谷英明
■寸評:


 開発ブームに乗って、にわか成金が大量発生した田舎町。ある日、心ある地主と協力して学校建設を計画していた男の招きにより、イタリア留学帰りの神父・二谷英明がやって来る。だが、二谷英明を呼んだ男はすでに殺されていた。

 土地の買い占めをしては、浮かれた成金どもから傘下の賭博場で金を巻上げるという美味しいビジネスフローを確立していたブローカー・安部徹には、野獣のような(お父さんそっくりの)息子・郷英治がいた。安部パパは息子を溺愛しているが「言うことを聞かない奴は殺しちまえ!」という物騒なスパルタ教育パパでもある。

 そんなヘヴィーな家庭で育った郷英治は街中で馬を乗り回したりする思った通りの乱暴ものだが、安部の暴力的な支配に屈しない地主の娘・中原早苗にはメロメロで、なんとかモノにしたいという、こわいもん知らず。

 二谷英明はさっそく郷の手下とトラブルを起こし、新任の美人女医・芦川いずみに手当してもらってゴキゲンに。その夜、中原の父親が安部に誘拐され無理やり土地の譲渡契約書にサインさせられた挙句に、射殺される。

 もちろん知らん顔の安部徹は、堂々と葬式に参列。町で偶然、昔世話になった警官・芦田伸介に出会った二谷は、安部の悪行を暴いて平和な町に戻そうという芦田の熱意にほだされ(半ば脅迫されて)、協力を約束する。

 芦川いずみは行方不明になったバンドマンの兄をさがすためにこの町へ来ていた。兄の元彼女だった女・南風洋子は、今では安部徹の情婦になっていた。

 地主暗殺の証拠を探していた二谷は、同じホテルに泊まっていた自称ギャンブラー・長門裕之を疑ったが、彼が持っていた拳銃は凶器と断定された物とは違っていた。

 芦川の兄は、南風を取り戻したい一心で、二谷を呼びよせた男の殺害現場で拾った証拠のカフスボタンを持って安部を脅迫するが逆に消されてしまう。安部徹は、いよいよ正体を現わして、二谷、芦川、芦田をまとめて殺害しようと、あの手この手で狙ってくる。

 二谷英明に子供扱いされた郷はついにキレて、中原早苗を人質にして二谷に勝負を挑む。芦川は死んだ兄が握り締めていた証拠のボタンの持ち主が長門裕之であることに気がついてしまったため、彼女も人質に。

 老骨にむち打って芦田伸介が助人として大活躍。郷英治、長門裕之らを鮮やかに射殺。息子を失って意気消沈した安部徹は逮捕され、町に平和がよみがえり、学校建設もスタート。その頃、二谷英明は、中原早苗に起き手紙を残し、自分がインチキ神父だったことを告白して町を去って行った。

 くぅーっ、カッコイイじゃん!二谷英明。全然似合わないけど、さ。

 二谷英明がピンで主演したアクション映画。「ダンプガイ」ってニックネームが全然似合わないっしょ?だって二谷英明ってインテリすぎるもん、外見も中味も。千葉で手のつけられない不良だった高橋英樹とか、エエとこの放蕩息子だった石原裕次郎とか、児童劇団出身の小林旭とかと、全然違うもん。

 中原早苗に手を出してただでは済むまい、郷英治。噛みつきそうなその野獣フェイスが当時、新人だったという事実に驚愕する人も多いのでは?宍戸錠の実弟というプレミアムがあっても、たぶん人の一人や二人は実際に喰ったことがあるんじゃないか?というくらいの迫力に、彼の生地の魅力を再認識。

 ご他聞にもれず、当時の日活スタアの定めとして本作品の主題歌は二谷英明、本人が歌唱担当。決して上手くはないが、声は良い、さすが局アナ出身。

 長門裕之が悪役ながらもちょっとカッコイイお兄さん役で登場。あのルックスだから、色敵なんかてんでサマにならないんだけど、この人、器用だからね、そこいらへんはお笑いを随所に取り入れながら、なかなかスマートにまとまってた。何演っても悲壮感が感じられないところがこの人のもち味ね。

 芦川いずみは頭の固い美人という役どころ。男に守られつつも男に依存しない、シンの強い近代的な女性というのは日活青春女優に共通している特徴かも。

1999年12月05日

【追記】

※本文中敬称略


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■日のあたらない邦画劇場■

file updated : 2003-05-17