緋牡丹博徒 お竜参上 |
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■公開:1970年 |
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お竜・藤純子は目を患った少女を残して旅に出た事を気にかけ、成長した彼女の行方を探していた。以前、世話になった流れ者の青山・菅原文太から、それらしい少女が東京の浅草にいるらしいと聞いたお竜は、地元、浅草の貸元、鉄砲傷・嵐寛寿郎を頼って上京する。 目指す少女は女郎屋にいた。お竜は嵐の馴染みの女郎・三原葉子から人違いであることを知らされ落胆する。ちょうど浅草では人気役者・近藤洋介の舞台が大人気で、その興業を一手に引き受けている嵐は、鮫州・安部徹の一家から人気役者を貸せと迫られていた。 浅草を縄張りとするスリ・山城新伍の仲間に目を手術した若い女・山岸映子がいて、お竜が会ってみると紛れもなくあの少女だった。山岸はお竜を探していて浅草にたどり着き、生活のためにスリになったのだ。山岸は安部の組の若衆・長谷川明男と婚約していたので、嵐は山岸を養女として迎え仲人を引き受けてくれた。 生き別れになっていた妹を探していた文太が浅草にやって来る。妹は田舎町で女郎として売られ、逃げようとしたところを地元のやくざに折檻されなぶり殺しにされていた。怒った文太はやくざの親分の片腕を切断して逃げて来たのだ。 文太の後を追ってきた刺客・沼田曜一は親分と兄弟盃を交していた安部に助太刀を頼む。文太が嵐の世話になっている事を知った安部は、それを口実に出入りの準備を進めるが、文太の挑発に乗った代貸・名和宏と若衆が騒いだため警察に目をつけられた安部は出入りを中止する。 安部は長谷川に命じ、山岸に劇場の権利書と実印を盗ませるが、お竜の活躍によって無事に取り返すことが出来た。いつもながらあきらめの悪い安部は若衆・林彰太郎らに命じ、嵐を襲撃し重傷を負わせる。 安部は右翼の大物・天津敏にワイロを贈り、嵐との手打ちの条件として、嵐の娘婿が経営する劇場ごと人気役者を引き渡せと要求する。手打ち式の場で自分の悪行を暴露したお竜に激高する安部。 一触即発の雰囲気の中、轟音とともに襖を突き破り、安部の手下を蹴散らしながら、お竜の兄弟分、熊沢虎吉・若山富三郎が突如登場。お竜にメロメロの若山は、天津の首を絞め上げて安部を脅し、今後一切、嵐に手を出さないことを安部に約束させた。 それでも懲りない安部は、山岸によって役を奪われた女優をそそのかして人気役者を誘拐し嵐の子分・汐路章に取り引きを迫る。駆けつけたお竜によって人気役者は助かったが、お竜の暗殺に失敗した長谷川は惨殺された。 お竜とのサシの勝負を約束した安部だったが、そんな約束をあの安部徹が守るはずがなく、深夜の陵雲閣で彼の一家と、お竜、それに文太の壮絶な斬り合いが始まる。文太は拳銃で撃たれ重傷、お竜も負傷したが安部を屋上へ追い詰めた。お竜の一撃を受けた安部は悲鳴を上げながら地上へ落下した。 数ある見所の中でも、少女とお竜の再会シーンで、もらい泣きしながら蜜柑をほおばる三原葉子が出色。子役上がりで芝居が上手い童顔の山岸映子とは歳が3つしか違わないのに、藤純子が「おばちゃん」と呼ばれるのは気の毒だな、なんて余計な事を思いながら観ていると、藤を慕って抱きついて泣く山岸の熱演をしり目に、蜜柑を食う三原葉子の手が全然止まらないのに目が釘付け。 えてして他人の不幸な身の上やらなんやらに同情する人というのは、自分が犠牲にならない範囲でしか共感しないので、不幸せな女の生涯をたくさん見てきた年増女郎の三原葉子としては、この感激のご対面シーンですら、テレビの身の上相談くらいのインパクトなので、蜜柑を食い続けるのもむべなるかな、なのである。 出演者に名前があったら、いつ出るか、いつ出るかと期待させるのが若山富三郎(同様に丹波哲郎)。お竜さんのピンチ!そこへ鬼のような顔で登場したのが「チョビ髭の熊」こと若山富三郎。ジタバタする天津に拳銃をつきつけたその手を藤純子に「さわって」貰っただけで、愛好が一気に崩れハシャぎまくり。暴力的に圧倒的に強く、その知的レベルが幼児並みという役どころは、若山富三郎の十八番(「地」とも言う)。もちろん実際にいたら、迷惑なだけのキレた親父。 文太兄ぃに斬りかかり奮死する安部の若衆・川谷拓三、断末魔でしっかりアップの横顔は全然憎めない。相変わらずあまり物事を深く考えない名和宏、事件の渦中にありながらも傍観者的にニヤニヤ笑う林彰太郎、お調子者の山城新伍、元新東宝の同僚対決となった沼田曜一。 出会い、別れ、どのシーンにも橋が効果的に使われていて印象深い。見せ場がありすぎてとてもここでは書き切れない、嬉しい映画。 (1999年08月10日) 【追記】 |
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※本文中敬称略 |
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file updated : 2003-05-16