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修羅雪姫 怨み恋歌


■公開:1974年
■制作:東京映画
■企画:
■監督:藤田敏八
■助監:
■脚本:長田紀夫、大原清秀
■原作:
■撮影:
■音楽:
■美術:
■特撮:
■主演:梶芽衣子
■寸評:眉毛をつぶした岸田森、うなされそう、、。


 明治時代後半、大量殺人を犯して逃亡を続ける、雪(通称、修羅雪姫)・梶芽衣子は、行く先々で追っ手を振り切り続けるが、トラバサミで負傷したりなんかしてついに逮捕される。判決は当然すぎる絞首刑。

 馬車で護送中の梶を救出したのは謎のオタフク仮面の一団。梶は秘密警察の長官(嵐山長官ではなく)、菊井・岸田森のところへ連れて来られ、死刑をパスさせてやる代わりに社会主義思想家・伊丹十三のところへ潜入し機密文書を盗み出すように命令される。

 女中として伊丹の家に入った梶は、伊丹に正体を見抜かれるが、伊丹から政府の弾圧や不正を教えられ、あっと言う間に岸田を裏切って伊丹のボディーガードを引き受ける。直情径行で無学な女は、思想というものがなく本能だけで生きているから寝返るのも早い。

 岸田は伊丹を追い回す。危険を察知した伊丹は、秘密警察の悪辣な手段を告発した手紙を貧民窟で医者をしている弟・原田芳雄に渡すよう梶に預けた。梶は逃亡生活中に原田に助けて貰ったことがあった。思想家の兄とは絶縁していた原田であったが、仲間・浜田晃らとともに手紙を守る。

 警察に凄惨なリンチを受けた伊丹は貧民窟に投げ込まれるが、なんと彼の体にはペスト菌が注射されていた。危険を顧みず実兄を隔離して看病を続ける原田もまたペストに罹る。黒死病という名前のとおり全身、黒焦げ状態になった伊丹が死ぬ。

 岸田は伝染病を理由に、手紙を処分すべく貧民窟に火をつけて住人ごと、すべての証拠を抹殺しようとする。原田は危機一髪で脱出するが仲間は全員、秘密警察によって射殺された。

 海軍記念日の神社参拝という晴れがましい席へ、得意満面の岸田森が右翼の政治家・安部徹とともに向かう途中。姿を現わした梶は、岸田の部下を次々に斬り捨て、安部を倒し、瀕死の姿で助太刀に来た原田と一緒に、境内で岸田を追い詰めて胸板をドスで一突きにした。

 血の海でのたうつ岸田。その岸田から銃弾を受け苦しむ原田は梶にトドメを頼むのだった。

 とりあえず、この映画、サブタイを変えて欲しいと思う。「修羅雪姫・怨み濃い歌」ってしたほうがバッチリだと思うぞ。

 梶は「さそり」同様に、延々と例のウザったそうな表情のまま、一度も笑わずに、人を殺しまくる。ファンにとっては和服の「さそり」状態なので嬉しい?

 「さそり」ワールドを彷彿とさせる、と言えば、南原宏治もスゴい。貧民窟の住人に捕えられた彼は、浜田晃の手斧を奪って、手鎖ごと自分の手首をたたっ切って脱出する(梶に手首を切られた成田三樹夫を彷彿のこと)が、残りの腕は梶芽衣子によって切り落とされ空中遊泳。

 伊丹十三と原田芳雄の兄弟、インテリヤクザと戦災孤児のコンビ、見たまんまでスイマセン。兄貴は凄惨なリンチをうけて挙句にペスト患者にされてのたれ死に。弟は医者でボツボツだらけになった兄貴につきっきりの看病、挙句に罹患して人間爆弾と化し岸田森に特攻攻撃をしかける、まさに体当り兄弟と呼ばれましょう。

 岸田森の手下として活躍する山本麟一も凄い。亭主の無残な死に様を見て発狂した伊丹の女房・吉行和子に片目をアイスピックでえぐられ失明し、残りの眼球はやはり梶芽衣子の手によってくりぬかれるのだ。

 凄い死に方の最高峰は岸田森。胸に一撃を食うシーンでは思わずスタッフの帽子がフレームインしているのだが、そんなものは無視!血を吸うシリーズのドラキュラそのまんまに大流血の中(注:血は吸いません)で悶絶し息を引き取る。この熱演、やり直しさせるわけにはいかんでしょう、ってくらいの断末魔!

 、、、、濃すぎる。

1999年08月10日

【追記】

※本文中敬称略


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■日のあたらない邦画劇場■

file updated : 2007-12-23