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黄金の犬


■公開:1979年
■制作:大映
■監督:山根茂之
■助監:
■脚本:白坂依志
■撮影:
■音楽:
■美術:
■主演:ゴローさん(犬)
■寸評:犬が金色になるわけではありません。


 いかにも腰抜けな都会人のハンター、倉石功福田豊士が北海道で熊狩りの途中、倉石だけが熊に襲われ瀕死の重傷を負う(あーもー倉ちゃんったらこんなんばっかだ!)。地元民の車に乗せて貰ったまでは良かったが、気が動転した福田は、大切な倉石の愛犬・ゴローをうっかり置き忘れてしまう。必死で車を追跡するゴローだったが、ヘリコまでは追うことが出来ずとうとう彼は北海道の原野に置き去りにされてしまうのだった。

 途方に暮れるゴローは都会育ちのデリケートな体質だったために肺炎に罹ってしまう。弱って海岸で休んでゴローが、政界汚職の証拠品を持って逃走を続ける、元商社マン・夏木(現、夏八木)勲と出会ったのが、彼の不幸の始まりであった。

 甲斐性無しの夏木のために、蛋白質を自力で獲得しなければならないゴローは、海岸にいたゴマフアザラシの子供をマジで襲撃し、逃げ出すゴマちゃんを海中で仕留め、豪華なお食事(本気で食ってる!)をするのだった。ゴローのたくましい姿は、うちひしがれた夏木の勇気をも奮い立たせた。

 夏木を追っていた殺し屋・地井武男。彼のバックには代議士・小沢栄太郎とその秘書・待田京介らが暗躍していた。地井は東京に残された夏木の妻・池玲子を犯して一人娘とともに偽装心中に見せかけて殺す。精神的に追い詰められた夏木は、ゴローの首輪に証拠のマイクロフィルムを隠し、彼のたぐいまれな帰巣本能を利用して復讐しようとする。

 迷惑千万なゴローだったが、一宿一飯および抗生物質投与の恩義により彼は一路、東京を目指すのであった。

 同様に、小沢栄太郎をかねてより追及し続けていた定年間近の刑事・鶴田浩二は、刑事局長・平田昭彦(様)の制止を振り切って北海道へ上陸、地元の若手刑事・森田健作とともに夏木の行方を追う。そこへ、倉石の未亡人・島田陽子がグイグイと割り込み「主人の大切な忘れ形身のゴロー」を探させろと出しゃばる。

 「美人の後家さんの頼みとあっちゃあ断われねえな」と言う事(かどうか知らんが)で鶴田は島田を捜査に同行させるのだった。

 単独でゴローを探していた島田は、尾行してきた待田の手下に襲われ、ボディーにとろくさい蹴りを受け失神、下着を剥ぎとられゴローを誘い出すエサにされてしまう。さらに凶悪野郎の地井武男は、通りすがりのトラック野郎・菅原文太の協力を得た森田健作にあと一歩まで追い詰められながらも、余裕持ち過ぎの森田を肉片が飛び散るほど派手に射殺し、逃亡する。

 一杯のラーメンの具を分けてくれる心優しい夏木に忠誠を誓い、敵の追っ手が襲撃してくればこれを撃退し、人命救助までしてのけるゴローの真摯な姿に対し、亭主の葬式もロクに済まさないうちに鶴田になびく島田陽子や、人命を羽のように軽んじる地井武男、民主警察の風上にもおけない鶴田浩二らがドタバタしているうちに、なんの罪もない民間人や待田の手先が血飛沫をあげて次々に死んでいく。

 大好きな夏木を地井に殺されたゴローは、偶然迷い込んだボロ家で、余命いくばくもない年増女・三田佳子と弟・坂東正之助との近親相姦まがいのキスシーンを見せつけられて呆れていたが、坂東が東京行きの船に乗せてくれたので一安心、と、思いきや、なんとこの船には、地井と、彼に誘拐された島田陽子、鶴田浩二まで乗船していたのであった。

 懐かしい飼い主であるはずの島田陽子は地井に犯されて別人のようであった。「もうおまえなんか主人とは思わない」という態度をあらわにしたゴローは夏木と坂東を殺した地井に襲いかかる。そのスキに逃げ出した島田や鶴田は、射殺された坂東をそれでも必死に助けようとしたゴローが、炎に包まれるのを巡視船からぼさーっと見物するのであった。

 ゴローは死んだと思い込んだ島田陽子はさらに積極的に鶴田を誘惑。証拠の品が無くなって意気消沈の鶴田だったが、島田のキスでヤル気まんまんに。鶴田は罷免直前に夏木の元上司・岡田英次を軟禁し革のベルトでスパンキングして無理やり証言させるが、その大事な岡田はさっさと殺されてしまい万事休す。

 ところがゴローは生きていた。ゴロー生存のニュースを知った地井は「野良猫ロック」の藤竜也みたいな革ジャンにグラサン姿でジープを駆り、シェパード数十頭をゴローが潜んでいる山奥に放つ。しかしことごとくゴローに倒されたため、今度はバイカー軍団で追撃させ廃坑へ追い詰めると部下もろとも生き埋めにしてしまうのだった。

 そしてまたもやボケの島田陽子がノコノコとゴローを探しに来て地井に捕まり、鶴田浩二が絶体絶命の危機に陥ったとき、どこからともなく出現したゴローが地井の魔の手に噛みついて島田を救出する。

 「ゴロー、後は任せろ!」と、ここまで世話してやったクセに命令口調の鶴田浩二にちょっとムカついたゴローだったが、相手は銀幕の大先輩なので、おとなしく従う。地井を余裕で射殺した鶴田はゴローからマイクロフィルムを受け取ると、島田陽子の匂いがしみついたスカーフにそっと包んでその場を去るのであった。

 ひとつも役に立たなかった上に、主人の倉石功を裏切り、愛犬のピンチを平然と見過ごし、鶴田の渋い後ろ姿を万感の思いで見送る色ボケの島田陽子の足元に座っていたゴローは、かつて夏木に対して見せた親愛の飛びつきポーズを彼女にすることは、もう決してないだろう。

 人間以上に素晴しい犬と、畜生以下の人間たちが織り成す、ドロドロな物語はこうして幕を閉じた。どんなときも西洋犬のような愛敬をふりまかず、日本犬らしい一途で寡黙な姿を見せてくれたゴロー、君は最高さ!

1999年08月10日

【追記】

※本文中敬称略


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■日のあたらない邦画劇場■

file updated : 2003-05-16