しあわせになろうね |
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■公開:1998年 |
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明日で解散する零細暴力団の組長・渡瀬恒彦は組の資金をヘソクり、ホステス上がりの女房・有森也美と一生遊んで暮らす約束をしていた。そこへ、手打ちの相手であった広域暴力団の組長が殺されたというニュースが飛び込んでくる。どうやら犯人は下っ端のヒロシらしい。 手打ちの仲裁を約束していたフィクサー・鈴木清順と、そのオカマっぽい秘書・山田辰夫は、オトシマエとして組長の命か一億円の現金かどちらかを用意するように渡瀬に言い渡す。借金だらけと自称している渡瀬は子分の前では大見栄切って命を投げ出すと宣言するが、実際は命も金も惜しい。 なんとか穏便に事を済まそうとする組の代貸・風間杜夫は、出入りを主張する幹部・六平直政と対立して怒鳴り合う。組が解散したら堅気になり、寿司屋の一人娘と結婚する予定の兄貴・哀川翔は、足を洗うべきか、出入りに参加すべきか迷う。 ヒットマンはヒロシなのか?渡瀬は殺されるのか?出入りはあるのか?哀川は無事に結婚できるのか?有森は海外旅行に行けるのか?少ない情報とヤクザの面子と欲望が渦巻く組事務所はますますパニックに。 そこへ盃を返した若い子分たち・根本ヒロナリらが、武器を用意して結集し、対立抗争ムードが盛り上がったところで、フィクサーが手打ちの条件をディスカウントしてきた。今度は風間の命を差し出せと言うのだ。実家に帰って親孝行したいと言う風間の決心はグラグラに。 とうとう対立する広域暴力団が事務所を取り囲み、外で激しい銃激戦が勃発。銃弾に倒れる若い衆を見た渡瀬はヤケクソになり、体を張って終止符を打とうとする。と、そこへ刑事・伊武雅刀がやって来て、相手の組長は逆恨みした組員に殺された事、犯人はヒロシではない事、すでに対立組織の幹部は全員逮捕され戦闘不能状態である事を告げた。 渡瀬の組が解散してしまえば、後はフィクサーの組が一帯を取り仕切るらしい。全ては漁夫の利を得ようとしたフィクサーの筋書どおりになったのだが、これで無事に組を解散できると安心した渡瀬たちにとってそんなことはもうどうでも良いことだった。 渡瀬は有森と海外旅行へ、哀川は結婚し寿司職人になり、風間も郷里へ戻って再就職を果たしたのだった。 情報が極端に不足すると人間はパニックになる。しかもそれが普通の人に比べてさらにキレやすいやくざだったら?本作品の舞台は組事務所のあるビルの1フロアに限定されている。従って、多分に演劇的である。三谷好喜のコントみたいだ。 ヤクザ映画の風采をとりつつ、これはホームドラマなわけ。「渡る世間は鬼ばかり」をやくざが演ってる、そんな感じ。男のダンディズムとか美学とを期待すると裏切られる。やくざだって人間なんだ、飯も食えばウン○も出す、だから人並みに「しあわせになろうね」というオチがつく。 ラスト、有森と顔をくっつけて満面の笑みをうかべた渡瀬恒彦がちょっとテレくさそうなのが良い。 「オペラハット」のゲイリー・クーパーみたいって言ったら持ち上げ過ぎか。 (1999年08月12日) 【追記】 |
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※本文中敬称略 |
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file updated : 2003-05-16