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少年探偵団 かぶと虫の妖奇、鉄塔の怪人


■公開:1957年
■制作:東映
■監督:小林恒夫
■助監:
■脚本:小川正
■原作:
■撮影:
■音楽:
■美術:
■主演:加藤嘉
■寸評:二十面相役はもっとお若い方にしてほしい。


 脱獄した怪人二十面相・加藤嘉は名探偵、明智小五郎・岡田英次と少年探偵団に復讐を誓う。少年探偵団の団員の父親・宇佐美淳が発明した原子炉の設計図を狙った二十面相は、研究所へ侵入するが厳重な警備のため目的を果たせず逃走する。

 破壊された研究所の壁にはまるで昆虫の足跡のようなものが残されていた。明智は、その犯人には8本の足があると言う。何だそりゃ?という警察に対してあくまでもクールな明智は、少年探偵団という従順でコストのかからないパシリどもに宇佐美の家の近所を警戒するように命じた。

 8本足でコンクリートの壁をブチ破るような化け物に狙われているにもかかわらず、警察の護衛すらつけて貰えない宇佐美の家に地方の大学の教授だという初老の紳士・加藤嘉(二役)が訪れ、バレバレの変装のくせに、もったいぶって正体をあかし、高笑いを残して宇佐美の息子を誘拐して姿を消した。

 のこのこかけつけた警官隊の前に現われたのはカブト虫ロボット。これがまたとんでもなくトロい代物で、一応、秘密兵器らしく角の先から火を吹くのだがせいぜい30センチメートルくらいしか届かない上に、余ったガソリンで角が炎上しかかるというまことに間抜けなヤツ。

 でんでん虫より鈍足のカブト虫ロボットを取り囲む明智と警官。手持ちぶさたの彼等(移動速度は三輪車以下)をしり目に秘密兵器は悠然と姿を消すのであった、、以上が第一部「かぶと虫の妖奇」、以下は第二部「鉄塔の怪人」。

 カブト虫ロボットが到着した郊外の秘密基地には二十面相の手下が大勢いるのだが、彼等ときたら七色仮面のできそこないのような銀ラメのカブリモノにマントというかなり恥ずかしい格好の中年男たち。彼等はれっきとした日本人だし、特殊な兵器を使うわけでもなんでもないのに、なんでそんな目立つ格好してんのかさっぱり意味不明。なんだかカルト集団っぽくも見えるのがかえって怖かったりなんかして。

 人質と設計図の交換をテレビ電波を使って要求してきた二十面相は残りの少年探偵団の団員全員をカブト虫ロボットを使って誘拐した。ただ一人、逃げおおせた小林少年は責任を感じて単身、秘密基地の捜索を開始した。二十面相は山奥にひそかに建設している鉄塔王国へ移動することにした。

 小林少年の命懸けの報告にやっとこさ明智探偵と警察が行動を開始。鉄塔王国で奴隷のように働かされていた少年探偵団とともに二十面相一味を追い詰める。基地を爆破させようとした二十面相だったが、宇佐美の息子の手によって時限装置とカブト虫ロボットの操縦装置が破壊されてしまう。

 小林少年を鉄塔につるし明智とタイマン勝負を所望した二十面相。タッパはないけど若い(加藤嘉よりも7歳年下)ぶんだけ体力に自信があった明智小五郎は格闘の末、二十面相に勝利。無事に小林少年を救出し少年探偵団一同と一緒に無事、帰還したのであった。

 今回の怪人二十面相は若い頃から老人役が得意だった加藤嘉です。彼のように異様に高い頬骨、落ちくぼんだ眼球の人はどうがんばっても「高齢者」にしか見えませんね。したがって本作品でも「初老の紳士」とか「浮浪者の老人」など変装できるキャラクターに制限があります。

 それを解決するために、加藤嘉は、素面はファンデーションとアイライナーを塗りたくって、おまけに黒々フサフサというカツラを被ることによって年齢を一生懸命ごまかし、変身前後のギャップを演出することにしたのです。つまり、加藤嘉バージョンの二十面相は、ふだんが変装状態という別名「デーモン小暮作戦」だったわけですね。

 しかしですね、どうふんばっても加藤嘉は悪役には見えないわけですよ。岡田英次のほうがなんぼか色敵顔ですから、どうもいただけません。「うわーっはっはっはっ」と高笑いされてもなんとなく痛々しくてね。なんだかイジメみたいな気になるんですな、やっぱ歳寄りは大切にせにゃいかんですね、はい。

1999年05月02日

【追記】

※本文中敬称略


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■日のあたらない邦画劇場■

file updated : 2003-05-16