ブルークリスマス |
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■公開:1978年 |
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京都で開催された国際会議の席上、高名な学者・岡田英次はUFOを目撃した人間の血が青くなるというにわかには信じられないような調査結果を発表し会議を紛糾させる。国営放送の記者・仲代達矢は岡田英次を取材しようと自宅へ赴くが対応した妻・八千草薫は岡田の行方を知らなかった。 ニューヨークで岡田と密かに落ち合った仲代は、米国がすでに青い血の人間について調査を開始していることを知らされたが、岡田は仲代の目前で何者かに誘拐されてしまった。 週刊誌の記者・岡田裕介の恋人で国営放送のドラマの主役に抜擢されていた新進女優・新井春美が麻薬所持の疑いをかけられて降板させられた。新井の血が青いことを知っていた岡田は仲代に相談していたが、仲代がこの件を上司・小沢栄太郎に漏らした直後に新井が自殺したため、岡田は仲代を詰問した。 新井は人気ロックグループ、ヒューマノイドと一緒に麻薬パーティーを開いていたらしいが彼等に麻薬を与えたのは国防庁参謀本部の隊員・勝野洋と潮哲也だった。その頃、UFOに遭遇した勝野の同僚・沖雅也が行方不明になる。 勝野は恋人・竹下景子の血が青いことを知り愕然とする。町中で偶然、沖雅也を発見した勝野は沖から、米軍の手によって青い血の人間たちは密かに拉致されロボトミー手術を施された挙句に生体解剖実験に使われ処分されている事実を知らされる。それは青い血の人間を恐怖の対象として抹殺しようとする人々のしわざらしい。沖縄に不時着した沖もまた血が青くなっていたのだった。 UFOを見て血が青くなった人間が世界各地で続々と(密かに)発見される。彼等の力を恐れた謎の男・天本英世とその秘書・岸田森が国営放送に圧力をかけた。仲代のレポートは彼等の手先とおぼしき男たち・大木庄司に没収されてしまう。直後、仲代は彼等から岡田裕介が事故死したことを知らされた。 フランスへ飛ばされた仲代はそこでロボトミー手術により過去の記憶を抹消された岡田英次に再会。血が青いという噂があったヒューマノイドが乗った飛行機が原因不明の事故で墜落。仲代は、一連の事件が自分の想像をはるかに超えた何者かの手の内にあるという現実を実感していた。 日本国民に総血液検査が実施されることになった。青い血を持つ人々を摘発するために特殊部隊に抜擢された勝野と潮は、彼等の集会現場を探りだしリーダー・草野大吾らを逮捕する。特殊部隊の隊長・高橋悦史から、クリスマスの朝、青い血の人間の抹殺作戦が全世界で一斉に実施されることを知らされた勝野は竹下景子だけは逃がそうと連絡をとろうとするが高橋に止められてしまう。 クリスマスの朝が来た。世界のあちこちで青い血の人間が次々に惨殺される。竹下景子を射殺した勝野は、逆上し特殊部隊に立ち向かったが一瞬のうちに射殺された。 天本英世(と、仲代達矢)を見て「大日本人口調整審議会」(「殺人狂時代」参照)を思い出しちゃったソコの人、あなたは紛れもなく岡本喜八ファンです(私です)。 人間ってのは臆病な動物でしてね、とかく「わけわからんモノ」には過剰反応するわけです。サラブレッドやインパーラみたいに大した武器を持たざる生き物であればとりあえず逃げちゃうんですが、なにせ矢だの鉄砲だのという物騒な道具を振り回す人間様としては「とりあえず撃っちゃえ」と、いうことになるんですな。 特にアメリカさんは、ね。 「血が青いだけであとは普通の人間と同じ」だと言うのですが、外見に変化が無いわけないんですよ、文字どおりすんげー血色悪いはずでしょう?だって血が青いんだもん。ドーランでも塗らない限りバレバレっすよね。貧血症の人なんか真っ先に疑われそう。 なんか、こう、人間の心にあるどす黒い差別の心、同胞をおとしめて自分がのし上がろうとしたり癒されようとしたりという醜い本性をあからさまに見せつけられているようで、あんまりイイ気持ちはしませんですね、この映画。 だからこれはSF映画の仮面をかぶった啓蒙型のキョーフ映画。説教はあるけど特撮はナシ。オチもないし大団円もないという、観客の期待をことごとく裏切る映画だったと思います。 あと一つ、この映画で眉をひそめてしまったのがビートルズを凌ぐ!というロックグループ「ヒューマノイド」ね。名前もダサいですが、あんな頭悪そうな二束三文の外人タレントを出すくらいならミッキー・カーチスや二瓶正也あたりを出せ!金かかるけどデビッド・ボウイでも可(無理だけど)。 笑えたのは大量虐殺作戦の黒幕(らしき)、天本英世と岸田森。この二人のほうが血が青い人間なんかよりもよっぽど人類を恐怖に陥れるサムシングをデフォルトで装備していると思いませんか?この人達に比べれば血が青いくらい可愛いモンっすよ、いや実際の話。 (1999年05月09日) 【追記】 |
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※本文中敬称略 |
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file updated : 2003-05-16