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さよならジュピター


■公開:1984年
■制作:東宝、イオ
■監督:橋本幸治
■助監:
■脚本:小松左京
■撮影:
■音楽:
■美術:
■主演:三浦友和
■寸評:平田昭彦(様)熱烈信者、怒る!


 22世紀、人口爆発を続ける人類は太陽系に植民地を求めて惑星の開発を続けていた。ここで問題となるのがエネルギー。太陽から遠いほどその恩恵は少ない。そこで思いついたのが自分たちの太陽を作ってしまえ、という壮大な計画である。

 木星を太陽化する計画の現場責任者である英二・三浦友和はこまっしゃくれた天才少年など多くの部下とともに着々と準備を進めていた。その頃、冥王星付近で無人調査船が立て続けに消息を絶つという事件が起きる。英二の親友であるパイロットと科学者の井上・平田昭彦(様)が再度、調査に赴くことになる。

 その頃、地球ではヒッピー系のカルトまがいの集団が、木星の太陽化に反対していた。リーダーのピーターはデブでヒゲもじゃの頭の悪そうな白人で、どこが信心に値するのかさっぱり不明。この集団のアイドルがイルカのジュピター。彼等のほとんどは穏健派というか、何もしないでブラブラしている連中なのだが、教祖の覚えを目出度くしたい過激派の女性信者(?)・小野みゆきの陣頭指揮のもと、一部の信者たちにより様々な抗議活動が続けられていた。

 冥王星に向かう途中、井上が乗っていた探査艇が原因不明の宇宙の「穴」に遭遇する。コールドスリープから目覚めかかった平田(様)の腕がマジンガーZの「ロケットパンチ」のように引き千切れるほどの強い力によって船はバラバラにされてしまった。

 平田(様)が顔をアクリルにおしつけてみっともない断末魔の頃、破壊活動員の一人でありかつての恋人・ディアンヌ・ダンジェリーと宇宙交尾、じゃなかった無重力セックスをすっぱだかでエンジョイしていた三浦友和は親友の訃報を聞いて涙するのであった。

 謎の「穴」の正体がブラックホールだと判明し、さらに、それが地球目がけて突進してくるらしい。木星に調査に向かった友和はそこで謎の巨大母船に遭遇する。その姿はまるっきりザトウクジラ、おまけにその声(通信音波)もクジラそっくりなのだった。

 太陽系の他の惑星人と地球との交流が証明されつつあった木星は、ブラックホール撃退のため、太陽化を通り超して爆破されることになった。これを知った小野みゆきは、爆破計画を阻止するために友和が乗っている工作船に潜入する。その一味に加えられたダンジェリー嬢はクスリでラリパッパ状態で積極的に破壊工作に助力するが、やはり愛の力は強かったのか、最後の最後に小野を射殺して友和を救う。

 除去しそこなった最後の時限爆弾により友和とダンジェリーは脱出をあきらめ、木星と運命をともにすることに。その時、クジラ型宇宙船から最後のメッセージが。「さよならジュピター」友和がそう言い残した直後、木星は大爆発し、ブラックホールの軌道は変化し地球は救われたのだった。

 「シベリア超特急」がマイク水野のワンマン映画なら、これは同様の小太りじいさん、小松左京のワンマン映画である。ま、こっちのほうが金かかってるから「見所」は多い、とは思うが。

 友和がベースで見ていた映画は、三船敏郎の「宮本武蔵・巌流島の対決」で、友和のマブダチの外人が見ていたのが「三大怪獣・地上最大の決戦」その映画にかぶさるようにヌッと顔を出すのが平田昭彦(様)である。

 これって東宝ファンへのサービス?それにしちゃあ、平田(様)の最期がヒドすぎやしませんかっ!っての!ジンガイ(外人の意)にも負けない高貴で高い鼻っぱしらがベチョーっと窓に張り付いて、おまけに、ミエミエの作り物の腕がバビューンと飛ぶのよ、超合金ロボットじゃあるまいし、重力の影響ですって?そんなところ(だけ)にリアリティ出すんじゃないわよ!フン!(ただの八つあたりですから気にしないようにね)

 平田(様)のところにガンバルくらいなら、他にもガンバルところがいっぱいあるでショ?どーして「2001年宇宙の旅」よりセンスが悪いのかしらねー、金かかんないところでも。あっちのほうがずーっと昔でしょう?作られたのは。宇宙基地のコンソールなんか物体電送機と大差ないんだもん。

 とにかく「鋲」が見えてるってのが致命的よねー。

 さて、本題に入ります。宇宙ファックのシーンですが(本題、だろうか)、あれ、かなり間抜けでしたけど、友和クンよくがんばりましたね、お尻丸見えですもん。私、ああいうのを本気でガンバッテくれる人、大好きですよ。観客を心から笑わせてくれる演じ手、素晴しいですよ、ホント(褒めてるんですからね)。

 あと笑っちゃうのが、カルト宗教の教祖みたいなヒッピー親父のピーターね。22世紀のはずなのに1970年代ムードにトリップさせてくれちゃう、腹プヨ野郎。

 「私の教えを勝手に解釈した弟子がやってることなのさ」と小野みゆきたちの破壊活動を抗議に来た友和に平然と言い訳する。こいつがいかにうさん臭いかという証拠は、「ラヴ アンド ピース」なくせに、ピンチになったイルカちゃんを助けるために友和がサメの口ん中にスクリューぶちこんでやっつけるのを黙認するのである。

 カルトっちゅうのは社会をドロップアウトした人達のアラモの砦であるから、自分達を正当化するため、もしくは、既存の人間社会を否定するためには手段を選ばないものなのね。小松左京先生は、現在お騒がせ中のあのカルト教団の出現をすでにこの頃からズバリと見抜いていたのであろうか?とすれば、実に素晴しい慧眼であると言えよう。まして教祖のルックスまで予見していたとすると、こりゃスゴイって思いません?

 太古の地球で最も知能が発達してだろう哺乳類のクジラ。これが宇宙人とのコンタクトの鍵を握る。コレって劇場版の「スタートレック・故郷への長い旅」まんまですね?またパクったのかいハリウッド!

1999年06月25日

【追記】

※本文中敬称略


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file updated : 2003-05-16