大魔神逆襲 |
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■公開:1966年 |
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強欲な大名・安部徹が隣藩の百姓を無理やり山奥へ連れ去り、国境に密かに砦を建設する。男手を失った村には老人と女子供が取り残された。父に会いに行こうと決心した鶴吉・二宮秀樹は幼い弟の杉松、兄・山下洵一郎が囚われている力持ちの大作、兄貴分の銀太らとともに、魔神の山を越えることにする。 魔神の山は昔から神聖な場所とされ何人たりとも入ることを許されていなかった。途中、敵の家来に見つかった少年たちは川を筏で下ろうとするが急流にのまれてしまう。杉松を助けるために銀太が犠牲になった。砦を目前にして山に大雪が降り大作と杉松は寒さで動けなくなる。 敵の侍の銃口が少年を狙うと、魔神の使者とされる鷹が襲いかかり助けてくれた。銃弾に倒れた鷹を弔った鶴吉は弟と大作を助けるために魔神に一命を捧げて谷底へ身を投げた。その頃、村を訪れた藩の役人たちは少年や若者たちを救って欲しいという村人の願いを無視し、国境を偵察するために案内を強いた。 魔神の石像にたどり着いた一行の目前で、穏やかな像はあっという言う間に恐ろしい大魔神に変身した。大魔神は非人情な役人達だけを蹴散らし一旦姿を消したが、雪深い谷底からまばゆい光とともに出現し鶴吉を助けた。生き返った鷹とともに砦に進む大魔神。 砦が完成し、救援を求めて脱走しようとした山下が硫黄の池に突き落とされた。間道を案内しないと全員殺すという安部の命令で、武士・名和宏の手によって鶴吉の父・早川雄三が処刑されかかったその時、不気味な足音とともに大魔神が到着したため砦はパニック状態に。 大魔神は砦をくまなく破壊した後、大名の体をわし掴みにして硫黄の池まで運び、もがく体に剣を突き刺しその死体を池に沈めた。助かった少年たちと村人が心から感謝すると、大魔神はもとのハニワ顔に戻り地吹雪とともに姿を消した。 この映画の価値のほとんど全ては子供たちの活躍です。もちろん見るほうのお待ちかねは大魔神ですが、物語全体を通して、本作品を「格調高い」ものにしていたのは3人の子役さんです。 利発そうな二宮秀樹という子役さんは実に美しいです、ほれぼれします。他人の弟を川から救って力尽き、共倒れにならないよう小さな手を自分で振り切って流されてしまう銀太の男らしさには大人の私でも号泣できます。口の悪い銀太に「おまえグズだから」と身も蓋もない言われ方をするウドの大木的な大作ですが、仲間たちは絶対に彼を罵ったり見捨てたりはしないのです。 子供向けの映画であっても子供だましの映画であってはイカンのですね。子供を子供扱いしないでちゃんと一人前の大人と同様に重要なポジションに置くからこそストーリーに厚みがぐんと増します。 話題を肝心要の大魔神のほうへ戻しましょう。 主人公が無愛想な場合、脇役の任務はとても重要です。特に本作品の場合は主人公である大魔神がお面かぶってますから。 大魔神本体はズンズカズンズカ歩いてるだけだし動きも硬質なので、ここんところは悪役、安部徹の職人芸的な怖がり芝居の腕の見せ所となります。かつて力道山に鉄塔を揺らされててっぺんから転落死したこともある安部徹ですから、今回も溶けない雪を恐怖のあまり開けた大口に目一杯ほうばって腰を抜かして狼狽しまくります。 あまり憎たらしくない相手に惨い仕打ちをすると大魔神のほうが「ひっど〜い」って事になりますから、岩につぶされて血を吹いて死ぬ名和宏とか、剣に胸を貫かれた安部徹の不敵な表情は観客の心を「ザマミロ」状態にしなければならない重要な役割であったのです。 思えばこのコンビはこの後も「悪徳金融会社の社長とグルになる暴力団の幹部」とか「寄付金を横領する私立学校の理事長と校長」など手強くて意地汚ないイジメッコな役どころで大活躍するのですから、日本映画にそのワルモノぶりで一時代を築いた黄金コンビだと申せましょう。 「ゴッドファーザー」はゴージャスな第二作目がピークで貧乏ったらしい三作目はトホホでしたが、大魔神は3作とも大好きです。もっと観たいですが、ピークのまま引退したからこそ今だにパロディにされたり、復活説がささやかれたり、愛されているのかもしれませんね。 (1999年03月01日) 【追記】 |
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※本文中敬称略 |
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file updated : 2003-05-16