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今日もわれ大空にあり


■公開:1964年
■制作:東宝
■監督:古沢憲吾
■助監:
■脚本:須崎勝弥
■原作:
■撮影:
■美術:
■音楽:
■主演:三橋達也
■備考:エリートパイロット姿がキマリまくる平田昭彦(様)。


 空自の浜松基地では新鋭F104に搭乗するパイロットの訓練が行われていた。各地の航空隊から集められたエリート集団、タイガー隊は隊長・佐藤允、以下、夏木陽介当銀長太郎稲垣隆ら全員、威勢の良い者ばかり。そこへヴェテランの教官・三橋達也が赴任してくる。

 浜松へやって来た千歳の士官・平田昭彦(様)から新鋭機F104の資料を受け取った三橋は、佐藤たちにより実戦に近い訓練をするよう命じる。ある日、稲垣の機が操縦ミスにより失速しかかった。三橋のとっさの指示で最悪の事態は免れたが、稲垣はそのショックで飛行恐怖症になったことを整備班長・中丸忠雄に告白する。

 自信喪失気味だった稲垣を励ますために三橋はプロペラ機による訓練を彼に課し、一人パラシュートで脱出する。佐藤たちに励まされトラウマを克服した稲垣であったが、最中に三橋が負傷してしまう。三橋を見舞った稲垣は三橋の一人娘・酒井和歌子と仲良しになる。

 食堂の美人栄養士・星由里子を当銀と争っていた夏木は、当銀の友情により彼女と結婚することになった。仲人は三橋とその妻・新珠三千代。しかし三橋は彼らの訓練後、地上勤務に回されることになっていた。部下にその事実を告げずに訓練を続ける三橋。そしてとうとう卒業の日を迎えることになった。

 大勢の仲間・航空自衛隊の皆さん(本物)に見送られ佐藤、夏木、当銀、稲垣は千歳基地へ飛び立った。悪天候の中、無事に一同は到着する。千歳の基地で隊長・田崎潤から辞令を受け、いよいよ彼らと別れることになった三橋を、F104に乗った佐藤らがさわやかに見送った。

 船員組合の余興に「てんぷくトリオ」が呼ばれなかったように、国鉄の慰安会に「脱線トリオ」が呼ばれなかったように、空自の宣伝映画である本作品には深刻なクラッシュシーンなんかハナから期待してはイケナイ。

 こんな歳喰った「青年パイロット」おるか?と思うが若大将シリーズにはそういう連中がゴロゴロいるので別に驚くには値しない。特に佐藤允あたりに難ありだが、まあいい。

 映画の8割以上を占めるのはブルーインパルスの曲芸飛行、および、飛行機の整備シーンのみ。俳優なんてほ〜んの添えものと思いきや、監督は東宝ライトコメディーの帝王・古沢監督なので、随所にラブ・コメらしきドラマが盛り込んであって航空ショーに飽きた観客(私だ)は一安心。

 稲垣が離陸できなかったので、整備班は彼をかばって機体点検を念入りにしてやる。その心づかいに耐え切れず飛行恐怖症を告白する稲垣に、整備士一同が「え?」って振り向く予定調和的な芝居。こういうコントのテンポの良さはさすがクレージー映画の巨匠である。

 本物の空自隊員も嬉しそうにゲスト出演してて、作り手はよっぽど飛行機好きなんだなと思ったら、古沢監督って元航空隊なんだそうで。好きこそものの上手なれ、ですな。

 整備士の中丸忠雄とパイロットの稲垣隆は顔の構造が驚くほどよく似ている。当時の東宝ニューフェースってこんなのばっかだったのか?二人が顔を見合わせるシーンがあるが、まるで兄弟のようなのでファンとしては嬉しいところだ。

 若いくせに尊大な中丸班長にこき使われる整備士が広瀬正一。そう、特撮ファンにはお馴染みのキングコングの中味だった巨漢俳優。この人なら着ぐるみ不要では?と思わせる愛敬のある風貌も楽しい。

 お下げ髪の酒井和歌子(当時15歳)は本作品がデビュー作。

1999年02月23日

【追記】

※本文中敬称略


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■日のあたらない邦画劇場■

file updated : 2003-05-16