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カラテ大戦争


■公開:1978
■制作:三協映画
■監督:南部英夫
■助監:
■脚本:南部英夫
■原作:
■撮影:
■美術:
■音楽:
■主演:真樹日佐夫
■備考:本作品は日本語吹き替えでお送りします。


 恋人・夏樹陽子をスケベな覆面プロレスラーから救おうとして大怪我をさせた実戦空手のチャンピオン・真樹日佐夫は行方をくらまし今ではしがないタクシーの運転手をしていた。夏樹は真樹の空手の師匠・大滝秀治の愛娘であった。

 真樹が大滝に迷惑をかけまいと自分から身を引いた事を知っていた夏樹は、真樹に再び空手をやるよう説得する。ちょうどその頃、大滝と対立している日本空手協会、略して日空協(にっくうきょう)の会長・安部徹が、代議士・金子信雄の後援をするから大滝にも協力するように要請してきた。

 安部と金子(が演じるキャラクター)の人間性を信用するヤツの気がしれないのだが、ともかく、大滝は香港やタイに自分の道場を開いてくれるという金子の約束を信じ、真樹を呼び寄せた。大滝は自分の空手流派の実力を証明するために、真樹にクンフーの名人とタイ式キックボクシングのチャンピオンを倒すように命じた。

 最初は大滝への義理のために闘っていた真樹であったが、クンフーの帝王と死闘を演じていて持ち前の純粋な闘争心に気が付き、ただ強い相手と闘うことだけを目的にタイへ飛んだ。

 夏樹は大滝の欲目のために真樹が危険にさらされているのではないかと心配し、同じくタイへ飛ぶ。真樹と再会した夏樹はホテルで愛しあい、真樹は一人でキックボクシングのチャンピオン・ダーム・ダサコーンと闘うために郊外の空き地へ向かった。

 荒い息づかいだけがあたりにひびき渡り、再起不能になるまで戦い続けた二人は朝日を浴びて大の字になって倒れたのだった。

 ジャイアント馬場さんのプロレスはとても分かりやすいですが、船木や佐々木がやっているパンクラスの試合はいつ、どうやって決着がついたのかおよそ素人目には分かりません。しかしながら鍛えられた肉体の躍動感というのは文句なしに見ていて楽しいものですから、誰が見ても「面白い」ということに違いありません。

 真樹日佐夫は一応空手の本職らしいんですけど、千葉真一のように「客が見てカッコイイと思うアクション=演技」に関しては素人なのが辛いところですね。

 見る人が見れば分かる、ということは、分からない人には分からない、ということ。私を含めて圧倒的多数は後者なので結果としてちょっと「かったるい」格闘技映画だなあ、と思いました。

 真樹日佐夫はなかなかの男前です。狂犬ジールー・今井健二(「博徒外人部隊」参照)の目をカワイクした感じ、というところでしょうか(よく分かりませんが)。惜しむらくは、または当然と言うべきか、真樹は芝居が全然できなかったため、彼の台詞は極真空手流の深呼吸とかけ声以外は全て吹き替えでした。

 吹き替えを担当したのがユル・ブリナーや「宇宙戦艦ヤマト」のドメル将軍役など男性的な声質でお馴染みの声優・小林修だったため、真樹の風貌とも相まってなかなか素敵になってました。夏樹陽子とのラブロマンス部分は目を閉じて、ファイトシーンは目をあけて観るととても素晴しい映画です。

 さて、男臭い映画である本作品には夏樹陽子のほかにもう一人、美女がいます。真樹日佐夫の実兄であり、本作品の原作者の一人である梶原一騎の奥さん(だったかな?)だった白泳泳(パイ・ピンピン、だったかな?)。彼女は香港クンフーのチャンピオン(名前は失念、香港映画でよく見かける細面の二枚目)の妹役で登場します。

 何もしないのになんとなく空手の大名人に見えるのが大滝秀治。私はこの人のことを敬意を込めて「小泣きじじい」と呼んでます。赤ん坊のような体なのに背負うと漬物石のように重くなる小泣きじじいと同様に、どこにいてもその異常な集中力が周囲にぽっかりとオゾンホールを作ってしまうため、小兵の割に異様な存在感がある、という事です。

 映画的な「ぱっと見のカッコ良さ」には乏しいのでスポーツ観戦のつもりで楽しむとそれなりに面白い、と思いました。

1999年03月01日

【追記】

※本文中敬称略


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■日のあたらない邦画劇場■

file updated : 2003-12-30