武士道ブレード |
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■公開:1980年 ■制作:ウエイントラブ・エンタテイメント ■監督:トム・コタニ ■助監: ■脚本: ■原作: ■撮影: ■音楽: ■美術: ■主演:サニー・チバ ■寸評:「レッド・サン」発、「将軍」行き。 |
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幕末の横浜港。桜田門外の変が起こり徳川幕府は開国派と攘夷派に分断されていた。日米条約を締結するために来港していた米軍艦隊の提督は、将軍の名代である大名・トシロウ・ミフネ(三船敏郎)から宝刀を贈られるはずだった。その宝刀が攘夷派の地方大名・テツロウ・タンバ(丹波哲郎)の配下・ビン・アマツ(天津敏)によって強奪された。武士の魂である刀、つまり「武士道ブレード」を奪われたとあっては徳川家の威信に傷が付くので表立った探索はできない。そこで宝刀の護衛責任者だった井戸守・サニー・チバ(千葉真一)が密かに奪回の任務に付いた。 提督は武士の面目にこだわってなかなか締結しようとしないミフネが理解できず、自分の部下の大佐・フランク・コンバースに、日本語を話せる少年将校とその叔父である海兵をお供にして宝刀を追跡するようにを命じた。チバの一行は早々にタンバの手下に急襲され壊滅状態に。フランクたちも襲われ、少年将校は川に叩き込まれ、海兵は村をうろちょろしているところを役人に捕えられ、たまたま難破船から救助された米国人船員たちが収容されている施設に入れられてしまう。 チバとフランクは合流してタンバの城を目指すが、途中チバが狙撃されて負傷。そこへ突然、英語ぺらぺらのハーフの女忍者が現われ、タンバとチバの家は代々対立していて今はチバの妹が人質としてタンバの城に幽閉されている事をフランクに告げる。溺死寸前だった少年将校はこれまた偶然にも、かつて米国船に救助されて米国生活を経験したことがある漁師・マコ(マコ岩松)に助けられていた。鎖国ニッポンをさまよいつつ、行く先々でバイリンガルに出会ってしまうとは、なんてご都合主義な、いや、運の良いガイジンさんたちであろうか。 日米条約のためなら、とハリキッた米国人船長・ジェームズ・アール・ジョーンズの助けを借りて海兵は施設を脱走。どんなに困っているときでも日米友好の精神を忘れない彼は、神社で奉納相撲をとりに来た力士・キン・オオマエ(大前均)と力比べで米俵や酒樽かついだりして仲良くなりつつ、タンバの城へ着々と向かっていた。 襲撃してきたタンバの家来から度々チバを救ったフランクはチバから刀を貰って武士にしてもらう。ちょっとありがた迷惑気味のフランクだったが、これも親善活動と割り切って好意を受けることにした。チバは面が割れているのでフランクと女忍者が先行してタンバの城へ潜入。チバの裏切りを知ったタンバは見せしめに人質の首をはねてしまう。過激な攘夷派のくせに驚くほど英語が堪能な城主のタンバはフランクに、宝刀が欲しければビン・アマツと決闘せよと命じる。 サーベルでアマツと対決していたフランクの目の前で日本名物の地震が起こる。地震慣れしていないフランクが動揺して劣勢に回ると、卑怯にも女忍者が突然加勢し、アマツの腕を切り落として宝刀を奪い、フランクとともに城を脱出した。目的達成のためならルール破りもノープロブレム!という、アメリカ人の本性をさらけ出したフランクと女忍者に激怒したタンバはアマツに切腹を命じ、自ら指揮をとってフランクを追跡する。 チバ、少年将校、海兵らと岬の灯台で合流したフランクは宝刀を少年に託し軍艦へ戻るよう命令する。チバは奮戦して討ち死にしたが女忍者の刀がタンバの首を貫いた。 軍艦に戻った少年は提督から「ミフネがハラキリをすることになったので条約は締結できた、だからもうそんな刀はいらないよ」と言われ愕然とする。そうとは知らないタンバの家来は仇討ちのために、フランクたちに最後の決戦を挑む。襲ってきたタンバの家来の頭上に火のついた灯台を倒れさせて全滅させたフランク。彼等が立たずむ岬の遥か沖合いに出航していく米国の軍艦が見えた。 一本の刀に振り回された人々の悲劇はやっと終わったのであった。 本作品は外国映画のため人名表記をカタカナに統一してみた。これだけでなんとなく雰囲気が出るから不思議なものである。(そうだろうか?) 「レッド・サン」の時はミフネがアメリカに行って撮影したのだが、今回は逆である。この企画は以前、ミフネがアラン・ドロンを招いて制作しようとしていたもので当時のタイトルはズバリ「ブルー・アイズ」。外国人が日本に来て様々なカルチャーショックを受けるという点ではまったく同じだが、フランス人のドロンとアメリカ人のコンバースとでは作品の趣はかなり違っていただろうと思う。「サムライ」への共感という点ではフランス人のほうが素直に入って行けそうだもんね、見たかったなあドロン版も。 「桜田門外の変」に巨大な鳥居(ゲート)が登場するのは面喰らうが、日本の伝統文化の描写は概ね正確で盛りだくさんなのが楽しい。終始日本語オンリーの天津敏とは違い、三船敏郎と千葉真一は英語を喋っているのだが残念ながら吹き替えだった。これに対して丹波先生は堂々の生英語、ネイティヴが認めた実力、さすがである。 (1998年06月30日) 【追記】 |
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※本文中敬称略 |
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file updated : 2003-05-16