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でんきくらげ 可愛い悪魔


■公開:1970年

■制作:大映

■監督:臼坂礼次郎

■助監:

■脚本:

■原作:

■撮影:

■音楽:

■美術:

■主演:渥美マリ

■寸評:


 田舎娘・渥美マリはOLをしている姉を頼って上京する。地味な姉に比べて奔放な妹に目を付けた姉の婚約者は、下心をギラギラさせて彼女をデートに誘うとんでもない奴。二人でいちゃいちゃしているところを姉に知られアパートを追い出された渥美は、アングラ劇団の青年と知り合う。そこでカメラマン・草野大悟にモデルを頼まれた渥美だったが、撮影された写真はとんでもないエロ写真だったため、あわてて逃げ出す。

 無一文の渥美は派遣マッサージ嬢として働き始め、生活は安定しかかったかに見えたが、同僚が熱を上げていた売れない歌手・平泉征に襲われそうになり、ホテルで平泉の急所を蹴り上げて逃げ出すが、面目まるつぶれの平泉が同僚に嘘の告げ口したため、渥美は再び流浪の身の上になる。ため込んだ小金でホテル住まいをしていた渥美は盗難にあって再び文無しに。彼女を救ったのはさる大企業の経営者のマダムだった。

 マダムの息子・松川勉の内向的な性格を直し、ちゃんと「女を抱ける」男に教育して欲しいと依頼された渥美は、彼をゴーゴーに誘ったり一緒にお風呂に入ってあげたりして、徐々に成果を上げる。女性に積極的になった息子は渥美と結婚したいと言い出すが、マダムに説得される前に渥美は姿を消した。

 ホテルのプールで知り合った商業カメラマン・岩崎信忠にスカウトされた渥美はグラビア・クイーンになり大金を得る。ある日、姉の婚約者があつかましくも金の無心に訪れたとき、渥美はひそかに姉を呼んでおき、彼の正体を知らせた。有名になった渥美の事務所へ草野がエロ写真をネタに強請りに来る。渥美は事務所に迷惑がかかるのを恐れて、モデルを辞めてしまう。独りぼっちになってしまった渥美であったが、彼女は決して絶望しないのだった。

 親から授かったモノを大切にして、万事前向きに生きていればそのうちイイコトあるかも!という、まるで「わらしべ長者」のような映画である。

 オナペット女優ってのはすでに死語だが、渥美マリを表現しようとすると他に適当な言葉が見つからない。それくらい当時の風俗を体現していたと言えるのかも。アングラ、フーテン、ゲバゲバ、、、こうして文字にするだけでも赤面しそうなあの時代の流行モノの数々。それらが渥美の周囲の男たちから漂うファナティックな空気感でもって実にリアルに見る者に迫る。

 「いそぎんちゃく」「でんきくらげ」「しびれくらげ」(以上、映画のタイトルである、念のため)と続いた渥美ワールドも、弓削監督や増村監督バージョンに見られたような「欲望から発生する狂気」的な雰囲気は一掃され、共演者もぐーんと格落ちしてかなり地味な陣容である。やはりマンネリによるパワーダウンの事実は否めないところかも。

 渥美マリが活躍したのは実質的にはわずか3年ほどの間だった。

1998年05月10日

【追記】

※本文中敬称略


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■日のあたらない邦画劇場■

file updated : 2003-05-16