でんきくらげ |
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■公開:1970年 ■制作:大映 ■監督:増村保造 ■助監: ■脚本: ■原作: ■撮影: ■音楽: ■美術: ■主演:渥美マリ ■寸評: |
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肉体派女優の賞味期限は短い。現代のようにエステだの豊胸手術だのテクで乗りきれなかった当時の事情を考えれば当然と言える。 年増ホステス・根岸明美には十七になる一人娘・渥美マリがいた。根岸は惚れっぽいため男に食い物にされては逃げられ続け、今の愛人・玉川良一もヒモ同然で生活は貧しい。渥美は洋裁学校に通って手に職を持ち母に楽な暮らしをさせるのが夢だった。 血のつながりのない娘ざかりの渥美の太股についムラムラっときた玉川は彼女を強姦してしまう。酔って帰った根岸の前で一度は開き直った玉川だったが、逆上した根岸に出刃包丁で刺されて死ぬ。刑務所に入った根岸が止めるのもきかず、渥美は水商売の道に入る。 銀座の一流クラブのマネージャー・川津裕介に引き抜かれた渥美は 持ち前の美貌と、ポーカー賭博で負けたらベッドインする、という趣向が受けて店のナンバーワンになるが、金のためならなりふり構わない彼女は同僚ホステスから嫉妬される。川津の紹介で大金持ちの老人・西村晃の妾になった渥美は、商売に関しては冷血漢だが本当は心やさしい西村に懸命に尽くす。 西村が急死し、西村の親戚たちから追い出しを食らいそうになった渥美は川津と寝て妊娠し、西村の子供だと偽って多額の遺産を得る。渥美のことを本当に好きになった川津が本気で結婚を迫ったとき、渥美は子供を堕ろしてしまう。怒った川津に「あなたは一度、私を売った」と言い残した渥美は彼の元を離れていくのだった。 男性不信の挙句に、唐突に男の前から去ってしまう主人公。真剣に恋をしてしまうことで、魔法が効かなくなるとでも思ったのだろうか? 渥美マリは芝居がうまいかって言うと、そういうことは全然なくて、ひたすら覚えた台詞と芝居を一生懸命演るというタイプ。なーんにも考えないで俳優やってるようなところが、見ているほうとしてはなんとなく幸せな気分になれるのである。映画の客は概ね怠け者であるが、そういう輩は他人の生真面目さには敏感で、渥美の真面目で直線的な芝居はとても好感が持てるのだ。 渥美のセクシーさというのは一見、暑っ苦しいように見えて実は「くどくないエッチ」とでも申しましょうか、さりげないスケベ、あざとさのないエロス、なのである。世の中は「体の良さとIQは反比例」すると思いがちなので、本作品は増村監督の力量に負うところが多いかのように言われているが、渥美マリの素材と努力と、ちゃんと持ちつ持たれつになっている。そこんとこ、ちゃんと観てね。 (1998年05月10日) 【追記】 |
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※本文中敬称略 |
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file updated : 2003-05-16