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おさな妻


■公開:1970年

■制作:大映

■監督:臼坂礼二郎

■助監:

■脚本:

■撮影:

■音楽:

■美術:

■主演:関根恵子

■寸評:


 本作品は成人映画じゃないけれど、どうなんでしょうか?未成年が映画で「脱ぐ」ってのは?「温泉みみず芸者」の池玲子と杉本美樹、「聖母大観音菩薩」の浅野温子、ハニー・レーヌ。当時よりも今のほうが色々厳しいですからね、こういうの。ってそういう映画じゃないですが。

 母子家庭のひとり娘・関根恵子の母・坪内ミキ子が突然死んでしまい、まだ高校生だった彼女は叔母の所に引き取られることになった。そこには不良学生・炎三四郎(後の仮面ライダーX、現・速水亮)という極道息子がいた。叔母は洋裁店を経営していて、炎は店のお針子を妊娠させた挙句にすっとぼけるような非道な奴。息子を溺愛している叔母には、関根にも襲いかかった息子の行状などとうてい信じてもらえず、関根恵子はせっぱつまって家を出る。

 酔っ払いの気の良い舞台女優・渡辺美佐子と出会った関根は、夜の女たちが暮らすアパートに入居する。関根は生活のために保育園の保母さんのアルバイト始める。そこで出会ったのが子持ちやもめの建築デザイナー・新克利。彼の娘は関根によく懐いた。やがて新は関根と結婚するが、彼には腐れ縁の独身作詞家・真山知子がいた。

 実年齢15歳だった関根恵子。ぽっちゃり顔のファニーフェイスと、新婚初夜での脱ぎっぷりの良さは、その後の「舞台すっぽかし恋人とバンコックへ逃避行」という顔に似合わないスキャンダルとも相まって、「かわいい顔してヤル時はヤル」的ギャップが魅力の女優さんである。

 そういうところが妙にリアル、とも言える。子供みたいなお母さんが子供3人くらい連れて歩いてたりすると「ヤル時はヤルんだなあ」なんて感心してしまったりなんかして、、、なんか話が逸れてないか?

 映像表現は時代モノ的だが、面白かったのはベットシーンである。この頃の普通の映画では、そのものズバリを延々と、アダルトビデオじゃないんだから、映さずイメージカットを挿入するというのが定番。

 関根恵子の顔→森のこもれ日→関根恵子の胸→みずみずしい赤いバラの花→関根恵子の唇、で、なぜかここで「ヒマワリの種を食べるリス」の映像がインサートされるのだ。もの言わぬ美しい風景ならいざ知らず、ほっぺた膨らませてカリカリボリボリという森の小動物、というのはかなり違和感っつうか拍子抜け。

 15で妊娠16で結婚というヤンキーのような人達ではなく、カタギの高校生が結婚するとなれば、まだまだ(そして今でも)周囲が困惑する時代の映画である。理解ある教師・福田豊士もいれば、露骨に反対するハイミス教師もいたりして、こういうステレオタイプなキャラクターはお約束である。

 大人の恋愛やセックス(メイクラブ)に対する不潔感、金銭感覚のなさ、母親としての戸惑い。好奇心と恐怖心がいり混ざった、はかなげなストーリー展開は、その後のありとあらゆる「ラブコメもの」の原形と呼べるのではないか。

1998年05月17日

【追記】

※本文中敬称略


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■日のあたらない邦画劇場■

file updated : 2003-05-16