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仁義なき戦い 完結編


■公開:1974年
■制作:東映
■監督:深作欣二
■助監:
■脚本:
■原作:
■撮影:
■音楽:
■美術:
■主演:菅原文太
■寸評:


 山守親分・金子信雄なんかとっとと殺っちまえば良かったのにね、と、このシリーズで何が不思議だったかというと、なぜ文太があの人徳の無いスケベジジイを生かしておいたか、に尽きるのではないか?

 菅原文太も齢四十を超えてさすがに粗暴なキャラクターは難しくなったのか。そして三十代なかばにして貫祿と脂身十分な小林旭ともども、ついにこの作品で二人は引退する。

 政治結社として組の存続を図った小林旭は警察の頂上作戦で逮捕された。旭がいない間、組長代行を勤めたのは若頭・北大路欣也。頭越しされたベテランたちはこれが面白いはずがなく、また、兄弟分・松方弘樹を殺された文太は服役中であったが、依然として隠然たる影響力を持っていた。

 今回の気の毒な鉄砲玉は桜木健一だ。「柔道一直線」で一発当てた、爽やか系の小柄な青春スターである。役どころは文太の組の若い衆。彼には酒屋の女房・中原早苗という姉がいる。桜木はなんとか文太が出所するまでに男を上げようと、欣也抹殺を企む田中邦衛の襲撃を計画する。

 桜木は道具を調達するために、姉一家に「睡眠薬入のコーラ」を飲ませ眠らせて、店の売上金を強奪する。なんて奴だ!さらに彼は手に入れたアメ公の拳銃で白昼堂々、田中邦衛を付け狙うのだが、一緒に行った仲間の目の前で恐怖と緊張に耐えきれず、失禁してしまうのである。ひょえー!!あの桜木健一が失禁だよ!こりゃ驚くわなあ、趣味悪いけど。

 組長・小林旭の竹馬の友ではあったが、東映生え抜きの欣也を殴った罪(?)でナンバー3・宍戸錠が逮捕され、さらに事態は混沌となる。欣也は先代組長の姉さん・野川由美子と夫婦になり、組長就任の挨拶回りの車中で襲撃される。が、間一髪、車の座席を山城新伍と入れ替わっていたため一命を取り止めた。ちなみに山城は絶命。ところが同乗していた重鎮・天津敏は全然セーフ、なのであった。さすが東映京都と言うべきか(違う、違う)。

 重傷を負っても組長として挨拶するんだと言い張る欣也の「体力」と「根性」に圧倒され、旭は完全引退を決意する。

 旭と文太が和解した矢先、文太の組の代貸・伊吹五郎が襲撃された。現場が映画館だったため、上映されていた映画の「藤純子」の立て看板の上に仰向けで倒れ絶命したのは、またしても(?)桜木健一。お竜さんの笑顔の上で、馬鹿ヅラさらして息絶える、ってシチュエーションは爆笑必至である。桜木健一に何か不満でもあったのだろうか、東映は。そこまでされちゃった桜木の葬儀に出向いた文太。桜木の遺体を囲んだ家族の嘆きようを目にして、これまた完全引退を決意するのであった。

 シリーズ全体の主役であった菅原文太の現役引退(役柄の上だけ、ですよ)をもって、この画期的なドキュメンタリータッチの「暴力団映画シリーズ」は大団円を迎えた。当時の観客の大多数は感無量であったろう。

 が、まさかこの作品の直後に、再び菅原文太主演(しかも金子信雄は続投で、松方弘樹、渡瀬恒彦、田中邦衛、らがゾンビ復活!)で「新仁義なき戦い」シリーズがスタートするとは!?誰が予想しただろう?とは言うものの、大部分の当時の東映常連客には想像がついていたのもまた事実。

1998年02月03日

【追記】

※本文中敬称略


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■日のあたらない邦画劇場■

file updated : 2003-05-16