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スーパージャイアンツ 鋼鉄の巨人


■公開:1957年
■制作:新東宝
■監督:石井輝男
■助監:
■脚本:宮川一郎
■撮影:
■音楽:
■美術:
■主演:宇津井健
■寸評:この映画を「特撮ヒーロー映画」に分類してはいけない。


 地球上の度重なる核実験は宇宙にも悪影響を与えるらしい。地球を除く宇宙の知的生命体の連邦会議の決定により、地球でこれ以上核実験をしないように、核を悪用しないように説得に行く大使が任命された。彼は惑星エメラルド彗星出身で、地球上では自由に空を飛び、ガイガーカウンターのような役目を果たす腕時計型の装置を装着しており、弾丸を跳ね返す鋼鉄の体(但、全身タイツ)を持っていた。彼の名前はスーパージャイアンツ・宇津井健と言う。

 地球の大気圏に突入した宇津井は、嵐で操縦不能になった旅客機を助ける。ついでに搭乗していたアトムAB団のスパイ・アルテンバイ(弟)とその一味が、こともあろうに日本で核爆弾の製造を企んでいる事を知り、これを阻止せんと、ダンディな紳士に変身して、ウラニウムの入った鞄を奪おうとする。空き地で悪党一味と格闘していた宇津井は、近所の教会に預けられていた孤児たちと知り合う。孤児の一人がアトムAB団に誘拐された。宇津井は教会のシスター・池内淳子と、孤児の面倒をみている高校生・瀬戸麗子、瀬戸の兄の刑事・中山昭二らに鞄を預けてアトム団ABの本拠地へ向かった。

 アトムAB団の団長・アルテンバイ(兄)はメラネシア国の大使・エドワード・キーンとグルだった。大使館でのパーティーを利用し、各国の大使を人質にして、製造した強力な核爆弾で世界を脅迫する計画だったのだ。おお、まるで「ペルー大使館人質事件」みたいではないか。宇津井はパーティーでアトムAB団の目論見を暴露し、孤児たちの助けを借りて大使らを逮捕し、秘密工場を粉砕する。

 この映画は巷間で揶揄されるほどヒドイ映画だとは私は思わない。スーパージャイアンツの衣装が滑稽だとか、特撮がトホホだとか、宇宙連邦の会議なんてそりゃもう「コンドールマン」の「モンスター一族の会議」(誰も覚えとりゃせんが)以下だとか、そういうのは時代のなせる業なのであって映画の優劣にはあまり関係が無いと思う。時間の障壁を馬鹿にするくらい下らないものはない。笑って楽しむのはイイが馬鹿にしちゃイカンよ。

 むしろこの映画では、子供向けとは思えない(子供にゃあモッタイナイ?)活劇シーンの素晴しさに注目すべきだ。光学処理でピカピカドンパチやるんじゃなくて肉弾戦である。スーパージャイアンツは拳銃を曲げたりするくらいの怪力だが、無益な殺生や余計な破壊を好まないので、殴りあいになっても相手がなかなかダウンしない。手加減してるんである。そういう超人的な色合いを表現するため、だろう、たぶん、の宇津井健の動きが硬直していてロボットのようなので見ている方は戸惑うわけだが、これは宇津井(生身のあんちゃん)が演ってるからヘンなのであって、「魔人ガロン」かなんかだと思えばちっともヘンじゃない。宇津井を人間だと思わなければ全然平気だ。

 秘密工場での殺陣はくんずほぐれつの連続。カットバックで打々発止とばかりにリズミカルでスピーディー。宇津井に触れただけでぶっ飛ぶ悪漢たちには胸のすくような思いだ。まさに「ちぎっては投げ」というシロモノである。宇津井は背が高いし体もダブダブでなく、筋肉質(早稲田大学馬術部出身、だから姿勢がイイ)なので、普通の人々が体の大きい人に無意識に抱く「きっとイイ人」なんだろうなあという先入観にも助けられてこのような荒唐無稽のヒーローには本人の意思とは無関係にドンピシャ。

 衣装については、映画の冒頭で豪雨にさらされるスーパージャイアンツがちょっと、、、とは思った。サポーターを着用する知恵がなかったんだろうし、多少、ソノ、見えちゃってると言ってもバレエダンサー並だし、むしろ問題は「乳首」だ。アレは情けないわ、確かに。「海女シリーズ」の「スケスケ肌着」ならいざ知らず。見たくないモノが見えているというのはツライわね。

 この映画には新東宝の映画で時々見かけるのだが、J・アルテンバイとE・アルテンバイという外人兄弟(おそらく)が共演している。兄貴は年期の入ったたどたどしさだが、特に弟の喋っている怪しい日本語がどうにもこうにもわざとらしいのである。「アナタノ、スンデルトーコ、オシエナサーイ」とか「コンドサーワイダラ、シッケーイ(死刑)ネ」とか、日本人が化けた外人のようななんとも不思議なイントネーションなのである。ロイ・ジェームみたいに純国産外人だったのかもしれない。アトムAB団よりもこっちの謎のほうが、興味津々だ。

 この映画を「特撮ヒーロー映画」なんかに分類するほうがイケナイのである。これは「活劇映画」なのだ、主題を勘違いしちゃイカン。

1998年03月23日

【追記】

※本文中敬称略


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■日のあたらない邦画劇場■

file updated : 2003-05-16