連続殺人鬼 冷血〜史上空前の連続23人強姦殺人事件 |
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■公開:1984年 |
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「将来の大物」とは、ある芸能事務所が掲げた所属俳優の宣伝文句である。その俳優の名前は中山一也。作家の高橋三千綱を刺殺しようと襲いかかり、松竹系の映画館に車で突っ込んだ男である。挙句は割腹自殺までやらかしたように記憶しているが、本当に何考えてんだかわけのわからないキワモノである。 K.K.(あえて実名は伏す、すでに刑は執行されていると聞く。)。この人はひところ日本中を震撼させた事件の主犯、というか単独犯だった、である。判決は極刑だったと思うが、全然妥当な量刑だと誰もが納得したものだ。この人が「凄い」と判明したのは、逮捕された後だ。彼の最後の「事件」は現金輸送車を襲撃し、大柄で柔道の有段者だった男性に投げ飛ばされ取り押さえられるというお粗末なものだったので、しばらくすれば人々の記憶から消えてしまうはずだった。 逮捕されて後、未解決だった強盗殺人事件、強姦殺人事件、派出所襲撃事件、など出るわ出るわの余罪の数々のものすごさもさることながら、彼がこれらの事件を平凡な日常の中に重ねていたという事実はあまりにも衝撃的だった。人を殺した直後にテレビのクイズ番組に出ていたとか、ホステスを車ごと丸焼きにしておきながら町の消防団員として活躍していたとか、女を襲って犯して殺してたけど夫婦仲は良かった、とか。 映画の中でK.K.はレンタカー屋に勤めているときは表面上の勤務態度は真面目だが、返却された車にこっそりと鍵で傷をつけ、客にインネンをつけて金をとろうする。このような姑息で意地汚ないシーンが出てくるが、これくらいのこと誰でもしそうだ(そうか?)、もちろん、彼の余罪の凄さに比べれば、であるが。 身近にいそうな、実際にいた、凶悪犯罪者の映画。この犯罪者は「エスカレート」したのではなく、凶悪犯罪という非日常的な体験を繰り返すうちに、それが日常になってしまった、という解釈である。人間はどんな刺激にも慣れてしまえるものなのか。主人公にも多少は罪の意識があったのか、そこから逃れるために自分で無意識のうちに鈍感になっていったのかもしれない。 演じる中山一也も相当にエキセントリックな人。とにかくスキャンダルでしか人々の記憶に残っていないというのが衆目の一致するところであろう。しかも背景に思想らしきものが一片も感じられないのである。ただなんとなく目立ちたいから?としか思えない。結構な二枚目であったが、所詮、取っ付きにくいヤサ男の風情ではあった。 妙に達者な芝居よりも、中山一也の鈍感な芝居が、ハマリすぎて怖い。役者は化けるのが商売だが、まさか中山は役に魅入られてしまったのでは?っつうか、こんな役のオファーを受けて、了承したのが彼だけだったというのが正解だろうが。大地康夫の「深川通り魔事件」と姉妹作とも一部では囁かれる(ちがうってば)、セミドキュメンタリー犯罪映画。 (1998年01月29日) 【追記】 |
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※本文中敬称略 |
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file updated : 2005-04-12