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白昼の通り魔


■公開:1966年
■制作:創造社
■監督:大島渚
■助監:
■脚本:
■原作:
■撮影:
■美術:
■音楽:
■主演:佐藤慶
■備考:薬の副作用を抑えるために食後に服用することをオススメします。


 幼馴染みの4人の若者、佐藤慶川口小枝小山明子戸浦六宏が経営していた共同農場が大水で大損害を出す。村の有力者の息子の戸浦と教師の小山は、また力を合わせて再建しようと言うが、佐藤は興味を示さない。金に困った川口は、戸浦に借金を頼み体を許す。川口は融資してくれた戸浦に素直に感謝し、戸浦も川口のことが好きになる。戸浦は村会議委員選挙に立候補し、トップ当選を果たす。

 小山のところを訪ねた戸浦は小山にプロポーズするが本気にしてくれない。それなら死ぬという戸浦を見送った小山は不安になり、佐藤に様子を見に行くように頼む。戸浦は川口に求婚し、心中をもちかける。本当に合い惚れなら死ねるはずだと戸浦に説得された川口は、納得して一緒に首を括ろうとするが、一部始終を見ていた佐藤が川口だけを救出し、川岸で犯す。

 佐藤はその日から「白昼の通り魔」と呼ばれる犯罪者になる。佐藤は小山と結婚し、川口は都会に女中として働きに出た。佐藤は村を出て川口の奉公先に現われ、またしても彼女を犯し、その家の女主人を殺害し金を奪った。刑事・渡辺文雄の追及に、真犯人を告げてよいものかどうか迷った川口は手紙で小山に相談する。

 理詰めで物事を解決しようとする戸浦六宏と小山明子に対して、本能で行動する佐藤慶と川口小枝。小山は生徒に愛や自由を説く立場の自分の亭主が連続通り魔事件の犯人であることに悩み、川口と心中しようとする。小山の葛藤に共感した川口だったが、服毒心中の結果、またしても川口だけが生き残ってしまう。

 佐藤が逮捕されそうになって神経質になり食事がとれなかった小山は死んだが、腹が減ったらいつ何時でもとりあえず食う川口は毒に負けなかった。女にフラれた金持ちの戸浦は死んだが、好きな女を奪って犯した佐藤は生きて捕まった。金も教養もない人間は、暴力に頼るか、誠実に鈍く生きるかのどちらかしかないのか。

 小山のようなインテリには努力しないとなれないし、戸浦のような金持ちには自分だけの努力では無理だし、佐藤のようなやくざな生き方は非合法だから危険である。となれば、市井の人として、慎ましく、たくましく、鈍感な川口小枝の生き方を選ぶしかない。金に巻かれ、暴力に抵抗せず、物事の本質はとりあえず無視して、毎日ごはんをきちんと食べる。一般大衆とはそういうものだと言うことか。

 最後に川口の命を救ったのは信越本線の横川駅の名物駅弁「峠の釜飯」(たぶん)。やはりすきっ腹にクスリはアブナイんである。そういうところに注目するのもどうかと思うが、実感であった。

1998年01月26日

【追記】

※本文中敬称略


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file updated : 2003-05-16