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免許がない!


■公開:1994年

■制作:光和インターナショナル

■監督:明石知幸

■製作:

■脚本:森田芳光

■原作:

■撮影:

■音楽:

■美術:

■特撮:

■主演:館ひろし

■寸評:


 くだらないコトを大げさに、かつ大真面目に描くとコメディーになるが、不真面目に作ると客を馬鹿にしていることになる。日本のコメディー映画の大半は後者であり、ハリウッド映画のオモシロさは前者にある。これが理解できないオタンコナスが作るとこういう映画になる、という見本。

 映画スターの南条弘・館ひろしは免許がない。二枚目スターなのに無免許、ただそれだけで一気に男の価値が下がるとはとは思えないけれど、スターとしてはマイナスだ。館は自動車教習所に入学し、免許を獲得するために、一介の素人として指導教官のイビリや誘惑に耐え、合宿所を占拠した映画制作スタッフの協力を得て悪戦苦闘する映画。

 伝説のテレビドラマ「あにき」で枕をステーキと間違えてかぶりつく高倉健の姿が全国放送されたとき、多くの視聴者がテレビの前で仮死状態になった(大うそ)そうですが、それに比べればこの映画における館ひろしの三枚目姿なんて全然大したことありません。はっきりいってしまえば、鼻くそ以下です。館が鼻くそなのではなく、こういうシチュエーションで笑ってもらえると思っている制作者が、です。

 「あぶない刑事」ですら私にはかなりダサく見えるのですが、人気があるようなのであえて触れません(私は気が小さいんですよ)。でも、そんなに素敵でしょうか?最近の館ひろしって。デビュー当時、「バイクでウイリーしたとき、勢い余って一回転してしまい、タンクのキャップがはずれてしまい、こぼれたガソリンを大量に飲んだ」という豪快なエピソードを披露し「俺って口でかいっすから」と語った頃の、ピラニア軍団(70年代に実在した東映の悪役軍団。室田日出男、川谷拓三、片桐竜次ら錚々たるイカツイ面々が所属していた。)予備軍だった頃の、館ひろしの方が好きだけどなあ。

 胴長短足で巨頭(顔のテカリ具合は良い勝負)という好敵手の教官・片岡鶴太郎の恋のキューピット役を館がはたすっていうエピソードも、いかがなもんでしょうねえ。教官対生徒という構図は、さまざまなキャラクターが登場する対戦型テレビゲームみたいなものなので、いかに強烈なキャラクターを登場させるかが鍵なんですけど、どれもこれも「館の引き立て役」程度の技しか繰り出してこないという、消化不良の敵キャラばかりです。

 路面実習のとき、映画スタッフが一致協力して、人ごみの整理をしちゃうとか、館を合格させるべく色々と作戦を展開するんですが、どれも見え見えでインパクトがありません。思わず「芸能人だからってこんなエコヒイキされちゃあ、危なくって出歩けないじゃないか!」と文句つけたくなります。

 笑いのネタとしての「免許獲得」は卑近な例すぎて笑えないんですね。教官キャラもパターンだし。館ひろしも妙な小細工しないで徹頭徹尾、ウドの大木してたら良かったのに、、、真面目な主人公のほうが応援したくなるものでしょう?普通は。

 最後に拡大コピーした免許証を誇らしげに掲げてパレードする館ひろし。紙吹雪が舞って、大団円!となるところでしょうが、それがニューヨークのウォール街ならいざしらず、これまた、ビンボくさい撮影所の中をノロノロ走るだけという情けなさ。

 笑えないし、泣けもしないという、館ひろしのキャラクターをモロに体現したような中途半端なコメディー。しっかりせんか!森田芳光(脚本)。

1997年09月29日

【追記】

※本文中敬称略


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■日のあたらない邦画劇場■

file updated : 2003-05-16