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地震列島


■公開:1980年

■制作:東宝

■監督:大森健次郎

■製作:田中友幸

■脚本:新藤兼人

■原作:

■撮影:西垣六郎

■音楽:津島利章

■美術:

■特撮:中野昭慶

■主演:勝野洋

■寸評:地下鉄は恐い。


 丹波哲郎は出てきませんが、そのかわりもっと大物が出てきます。

 オイルショックのときは「日本沈没」、「スターウォーズ」上陸のときは「惑星大戦争」、東海大地震ブームのときは「地震列島」、、、さすが東宝、いつの時代でも機を見るに敏。

 東京に直下型の大地震が起きる。登場人物各々のパニックを丹念に描く震災映画。随所に「日本沈没」の焼き直しが使われているのですが、まあ特撮監督が同じだから許してあげましょう。今回も、相変わらずの火薬馬鹿一代・中野昭慶。

 こういうパニック映画はその時代の「いちばんこわいこと」が良く分かるのが興味深いところ。1973年公開の「日本沈没」では津波と木造住宅の火災とカーテンウオール工法のビルからガラスの雨でした。うわ〜顔に刺さってる〜!血がふきだしてる〜!と、それは今でも同様ですが、火災そのものよりも有毒ガスのほうが今ではこわい。この「地震列島」では高層ビルと地下鉄です。

 撮影エピソードとして高層ビルのセットで被害に遭う多岐川裕美が倒れたロッカーに挟まれて身動きがとれなくなった、というのがありました。映画にもこのシーンは登場しますがかなりの勢いで左右から倒れてきて多岐川裕美の姿が見えなくなったときはこわさが実感できました。裕美さんが梁につかまってひきつる時の表情もグーです。マジでずり落ちそうになります、これもひとえに多岐川さんの運動神経の無さがプラスしているようです。そのビルに火災が発生して助けに来るのが顔面自衛隊の永島敏行

 地下鉄は出口が埋り、火災が発生し、浸水してきます。こわいです、リアルです。東京在住の私としては日本一古い地下鉄の銀座線ってトンネル狭いし、ボロイし、、。そうそう平将門の怨霊も取り憑いてるんでしょ?

 乗客が草野大悟とか滝田裕介という所帯臭い人達なのでこれまた臨場感ありすぎ。排水するためにガス管を爆破すればなんとかなる、と考えた和製C・ヘストン状態の勝野洋は浮気相手の多岐川裕美からもらったライターを手に、女房の松尾嘉代らを助けるために水没した地下鉄車内に潜っていきます。

 「ポセイドンアドベンチャー」では登場人物が次々に都合の良い特技を披露してピンチを切り抜けますが、ここ日本ではそういう奇蹟は起こりません。でも、この出口不明の潜水シーンて本当にコワイ。ところどころに漂っている水死体はともかく、プールで撮影していると分かっていても、やっぱ怖いです。

 勝野がトンネルの奥にたまったガスにライターで火をつけて玉砕。トンネルに穴があきみんなは水死を免れます。地上に出ると大火災をものともしないような豪雨。廃虚となった首都・東京。たまたま乗り合わせた女の子が松尾の手を握ります、すると松尾は母性本能がムクムクと沸き起こり「強く生きていこう!」と決意するのでありました。

 このほかのスペクタクルシーンも一応、紹介しておきましょう。ジェット機が着陸したら滑走路がボコボコで地震学者の大滝秀治が座席のあいだに挟まれて血がドバー、とか。偏屈なオヤジの松村達雄が、階段に挟まった女房をほったらかし一人で家を脱出して、地割れにはまって、口から血をゲロゲロ、、、マニアならここで「ドクター・フーか?おまえは!」と叫ぶところです(叫ばない、叫ばない)。

 特撮よりも人間ドラマに重点を置いたハリウッド映画「大地震」と「タワーリングインフェルノ」が一度に堪能できるスペクタクル映画。丹波哲郎が出ていないので役者は総じて小粒、そこが本作品のツライところ。ちなみに首相は佐分利信でした。あ、この人は小粒じゃありませんね、巨岩ですね。

1997年08月20日

【追記】

※本文中敬称略


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■日のあたらない邦画劇場■

file updated : 2003-05-16