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続 若い季節


■公開:1964年

■制作:東宝

■監督:古沢憲吾

■製作:渡辺美佐

■脚本:長瀬喜伴

■原作:小野田勇

■撮影:山田一夫

■音楽:宮川泰

■美術:小川一男

■主演:中尾ミエ

■寸評:


 演劇では「階段」はしばしば重要なモチーフである。「巨星ジーグフェルド」の大階段、「ラ・マンチャの男」や「スゥウニー・トッド」そして「アニー」ではほぼ出ずっぱりの主役級。映画だと「天国への階段(実はエレベータだったりするが)」がそのものズバリ。階段の多くは「らせん階段」であるが本作品でもオフィスに階段が登場する。でも登場するだけ。

 ミュージカル映画「若い季節」の続編。

 プランタン化粧品が社運を賭けて発売した男性用化粧品がまったく売れない。業をにやした社長の淡路恵子は責任は広告戦略にあり!というわけで宣伝課長の三木のり平に起死回生の檄を飛ばす。いつものとおりイキオイだけののり平は初代イメージモデルの青島幸男をオロし、こともあろうに由利徹を起用したため、ますます事態を悪化させる。

 淡路が緊急融資を依頼した会社の社長の三橋達也は社業そっちのけのプレイボーイ。奮闘するのは社長秘書課長の藤田まこと。三橋が仕事をほっぽらかしてボウリングに興じているところを、プランタン化粧品の販売部員の三人娘・中尾ミエ園まり伊東ゆかりに見つかり、三橋は正体を隠したまま彼女達と友達になる。イメージモデルを探してきた社員に賞金を出すことにした淡路。それを狙った三人娘が推薦したのがなんと三橋達也だったのでさあ大変!

 予想通りモデルが良いので商品は大ヒット。だが融資は断わられてしまった。これは三橋をモデルに起用したせいだと早合点した淡路はあわててポスターを回収。三橋が社長だと知った三人娘は三橋の会社に抗議に訪れる。事情を知らなかった三橋が、重役会を再召集し融資を決定する。仲直りした三橋と三人娘、宣伝部員と淡路は楽しくドライブへ出発するのであった。

 オフィスでの軽快な芝居からイキナリ階段のところで歌い出すヤッチンこと田辺靖雄のなんとなく投げやりっぽい姿にあっけにとられていると、今度は谷啓が「なめんなよ〜」と愚痴をこぼしながら歌って踊る、園まり&伊東ゆかり&中尾ミエが噴水をバックにこれまた踊り、鈴木ヤスシと、なんと古今亭志ん朝までが歌います。しかもなぜかみんな、階段で。

 日本で成功したミュージカル映画はオペレッタ映画の「鴛鴦歌合戦」くらいしか見た事ない。それだって、出演者の生臭さがすっ飛んでいたから見れたようなものだったが。イキナリ歌い出すというシチュエーションが、日本人にはツライ、同胞として恥ずかしいような気持ちにさせられる。なので、あと20年くらいたって何処の国の人だかわかんなくなるくらい昔の映画になれば案外、イケるかもしれない(予想)。

 三橋のモテモテ中年プレイボーイがこれまたツライ。本人もかなりツラそうです。ラストシーン、ドライブに行った高原で若い娘共とお手々つないで走る姿には照れを通り超した、なにか慚愧に耐えない、ような感じ。自我を捨てられない人にこういうのは無理っぽい。

 三人娘のあっけらかんとした、健康的なアクションはイイ。なんてったって電子技術に頼らない歌唱力は貴重、歌は文句なし。

 制作は渡辺プロダクションの渡辺美佐。他にもジェリー藤尾植木等(特別出演)、桜井センリ、なんかがちょろちょろ顔出しするのは社内調達なのでわりと簡単みたい。

 販売推進のために軍艦マーチに乗って悲壮な面持ちで男性化粧品の使用を強制される営業課長には東宝喜劇の「善人代表」人見明。筆者はこの人が好き。サザエさんのマスオさんみたいで、好き。人畜無害、多少の無理でもやってくれそう。

 陰影のない、ベッタベタのライティングを木村大作カメラマンに馬鹿にされたこともある東宝ミュージカルだが、映画がそれ以前だから気にしなくていい。日本のミュージカル映画はいつ泥臭さと生活感を吹っ切れるのか?だからといって「発狂する唇」や「血を吸う宇宙」とかまでイっちゃうとSFだから、それでもいいけど、どう?

2003年01月05日

【追記】

※本文中敬称略


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■日のあたらない邦画劇場■

file updated : 2003-05-16