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犬神家の一族


■公開:1976年

■制作:東宝

■監督:市川崑

■助監:

■脚本:

■撮影:

■音楽:大野雄二

■美術:

■主演:高峰三枝子

■寸評:進め!川口兄弟(注:晶&恒)!


 川面にニョッキリ突き出た毛深い二本足。これを学校のプールで再現したバカタレは当時、数万人にも上ったといたという(大嘘)。鼻に思いっきり入ってきたプールの水はかなり塩素臭かったため、鼻水が止まらず次の授業時間、先生に「どうした風邪か?」と尋ねられたものもまた、、、それって私だけ?

 犬神家の当主が死に遺言を踏襲して跡継ぎ候補が、あるものは雨の中で屋根にへばりつき(川口恒、正しくは絞殺)、あるものは菊人形に できそこないの首をすげ替えられ(地井武男)、次から次へと死んでいく。誰も彼も美しい娘(当時)・島田陽子と結婚しようとして、、なのだが息子がバカならそのかーちゃんたちも、これまた凄い。

 フルムーンの高峰三枝子、紀比呂子のかーちゃんの三条美紀、元SKDの草笛光子。いやあ女三大怪獣総進撃ってのはコレかいな?

 市川崑監督の「横溝正史シリーズ」の冒頭を飾るにふさわしいいかがわしさと、陰湿さに満ちあふれていて、テレビアニメ「ルパン三世」でしか名前を知らなかった大野雄二の映画音楽とも相まって叙情的な趣すらたたえたこの作品は大ヒットした。血まみれの高峰三枝子とか、一口羊羹のゴムみたいなマスクを被ったあおい輝彦、これみよがしの「殺人テク」ってのがとにかくビジュアルとして鮮烈。

 でも私が注目したのはそんなド派手な残酷シーンや超大物俳優ではございません。私にとってこの映画を味わい深いものにしたのは、川口晶と川口恒の兄弟共演、これです!川口浩、恒、晶、厚。いわずとしれた川口松太郎&三益愛子の子供達。男4人兄弟だと思うでしょ?残念でした、晶は女です。

 この一家のドラマは映画を超えている。まず、一番若い厚。有名なのはテレビドラマ「アイフル大作戦」の三平君だ。誰も知らんか。彼は長兄の浩を見習い早々に俳優業を引退したが、クスリで捕まって第一線から完全に姿を消した、不肖の息子である。

 次、ボーイッシュな魅力の晶。大河ドラマ「勝海舟」で藤岡弘の坂本竜馬(このとき人斬り以蔵はショーケン)と共演したりしたこともある彼女もまた、クスリで逮捕され表舞台から消えていった。で、恒。役者としては兄貴の浩をちょっとシャープにさせた、というか狐っぽくしたかんじ。新派出身だが彼もまた舞台の最中にクスリで逮捕され芸能界を去っている。

 彼等の不祥事は当然ながらこの「犬神家の一族」の後に起こっているわけだが、少なくとも晶と恒(故人)にとっては最後のスクリーンでの雄姿となったはずである。恒は島田陽子をシュミーズ一枚にまで剥くが失敗、背後から琴糸で首を絞められ挙句に物置の天窓にさらしものにされる。それを目撃した晶は失神!。この失神シーンがあまりにも唐突(コントのように硬直して倒れる、ぐえっ!という蛙のような悲鳴付)だったため場内大爆笑。崑監督、痛恨のエラーか?と思われる名シーンだ。

 物凄い形相(しかもびしょ濡れ)の熱演にもかかわらず死に様を笑われてしまった恒。その一件で狂った晶が有名な湖の「逆立ち死体」の第一発見者になるのだが。この時、彼女はなんとガマガエルをひしっ!と抱きしめているのである。う〜〜気持ちわりい〜〜。そして、珍妙な死体の一部に「面白そう〜」とコワレた視線を注ぐ。

 復員してきたあおい輝彦の兵隊服の詰め襟が、彼の短い首のおかげで福々しい顎に食い込んで苦しそうだった、とか、白石加代子が辻村ジュサブローの人形みたいだった、とか、高峰三枝子が三国連太郎の仏壇にお参りするとき仏壇の扉に写った(光学処理なんだけど)三国の顔がすわっ心霊写真か?といわれた、とか。そういうサイドストーリーに事欠かない映画であるが、ともかくもこれが川口兄弟の最後の晴れ姿。

 映画のその後を噛みしめながら作品を味わう、邪道だと分かっていながらそういう楽しみ方もまた古い映画を鑑賞する醍醐味なんです。

1997年09月10日

【追記】

2010/06/07:大野雄二が「ルパン三世」(第二シーズン)を担当するのはこの映画の公開後であるという指摘を受けました。ミスリードされるようなので以下の様に修正します。(原文はそのままとします)

未修正:テレビアニメ「ルパン三世」でしか名前を知らなかった大野雄二の映画音楽とも相まって・・・

修正済:あとでテレビアニメ「ルパン三世」で有名になった大野雄二の映画音楽とも相まって・・・

※本文中敬称略


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■日のあたらない邦画劇場■

file updated : 2010-06-07