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海女の戦慄


■公開:1957年
■制作:新東宝
■監督:志村敏夫
■助監:
■脚本:内田弘三、坂倉英一
■原作:
■撮影:
■音楽:
■美術:
■主演:前田通子
■寸評:あんな色っぽい格好した海女っているのか?


 タイトルに尼、または、海女とつけるとどうしてこんなにエロいんだろう?

 でもってこの海女姿がこれまた強烈。あんなセクシーな衣装の海女なんて絶対にいない。肩紐の無い、しかも乳首があわや!というくらいのアンダーカップ。下半身はハイレグがまぶしいTバック状態なのだ。いない、あんな格好をした海女なんて、絶対にいない。

 美人海女姉妹の前田通子三ツ矢歌子。三ツ矢は友達の海女・万里昌代(当時、昌子)とともに東京の雑誌社へ取材を受けるために旅立つ。だが予定日を過ぎても二人は戻らなかった。二人の身を案じた前田は恋人の松本朝夫(おお、なつかしい!異次元プロレスもの「アステカイザー」の生みの親)に調査を依頼するが消息は掴めない。ある日、入り江に万里の死体が浮かんだ。

 船員酒場に宿泊している実業家の一行は正体不明でガラの悪いチンピラを連れていた。そこへ風来坊の船員・天城竜太郎(後の若杉英二)が現われる。喧嘩絡みのいざこざから前田と天城は知り合いになる。天城の正体は刑事で、沈没した軍艦から財宝を盗み出そうとして海女の万里を脅し、これを拒絶した万里を殺した実業家を追っていたのだった。

 うっとうしいくらいの目張りビシバシの天城竜太郎(若杉英二)は本当にお人よし風の二枚目、ちょっと太りすぎだが。前田の弟が少年俳優・太田博之で、洞窟に閉じ込められている三ツ矢と財宝の所在を知っている元戦犯の閣下・林寛親子を助けて大活躍。いい歳した大人である天城やちんぴら達が完璧に間抜けに見えるくらいの利発そうなお子様ぶりを発揮する。

 スタイル抜群の前田通子に匹敵するのはイタリア映画で活躍していたお色気女優のメリナ・メルクーリとか「恐竜百万年」のラクウエル・ウエルチくらいなもんだろう。

 いつもおしとやかな三ツ矢歌子だがやはり脱いだ、いや脱がされた。死んだ万里のかわりに潜水を強要され渋々海へ。水中眼鏡をつけて顔が分からなくなったとたんにいやにたくましい体に変身する。早い話がスタントなのだが、この本職と思われる女性がなかなか。大股開いて泳ぐ姿(だって本職はセパレート水着なんか着ないんでしょ?岩場だから怪我するもんね。)が圧巻である。

 財宝引き上げのために海女を誘拐したところまではいいんだがそれを地元で白昼堂々、潜水させれば目立たないわけがない。もたもたしているところを海保の巡視船にあっさり見つかって追いかけ回される悪党達が乗船しているのがポンポン蒸気。ガソリンで白波けたてて迫ってくる高速艇に勝てるわけがなくお定まりの銃撃戦に突入。

 延々と全然当たらないピストル乱射!あの距離で横風の強い中18口径くらいの拳銃ではかなりキツいと思います。で、悪党サイドは一人が被弾するとまるで申し合わせたように次々に「ヤラレター」と倒れる。コントやってんじゃないんですから、、。

 船員酒場のセットがはすっぱな感じをよく出していた。使い込んで海風が染み込んだような柱や梁。西部劇に出てくる、あのバタンバタンするドア、すすぼけたステンドグラス、帆船の作り物を頂いた柱など実に雰囲気あって良かった。

 人間の演技は総じて紙芝居風であったが、色っぽい海女衣装とセットが良かったのと、前田通子の歌(演歌)と小坂一也のカントリーソングがちょっと聞きものの海女映画。

1997年05月30日

【追記】

※本文中敬称略


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■日のあたらない邦画劇場■

file updated : 2003-05-16