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怪猫 お玉が池


■公開:1960年
■制作:新東宝
■監督:石井義寛
■助監:
■脚本:石井義寛
■原作:
■撮影:
■音楽:
■美術:
■主演:伊達正三郎
■寸評:


 ドラキュラがベラ・ルゴシやクリストファー・リー、フランケンシュタインがボリス・カーロフ、ゴジラが中島春男なら、化け猫といえば入り江たか子である。が、本作品には登場しません、あしからず(なら言うなよ)。

 若いカップル(女は北沢典子)がハイキングの途中で道に迷う。やがて二人は廃屋で出会った土地の老人から、奇妙な昔話を聞かされる。

 厳しい年貢の取り立てを軽減して貰うために抗議に来た名主を代官が殺害した。代官屋敷に奉公に上がっていた娘がこの名主の娘で、代官は娘をも襲って自害に追い込む。一部始終を見ていた娘の飼い猫がこの代官に復讐し一族を滅ぼしたのだという。

 殺された娘には許婚者・伊達正三郎がいたが彼も殺されてしまう。娘と伊達の遺体は不義密通の濡れ衣を着せられ池に捨てられる。娘には妹がいた。代官一味と死闘を繰り広げた健気な(だけどかなりコワイ)化け猫・お玉は瀕死の体で妹を池に導き、事件の真相を告げると息絶えた。悪い代官を倒し、飼い主の仇を討った猫の死を哀れに思った村人がこの池をお玉が池と名付けたのだという。今は忘れられてしまったがそこには供養塔があったはず。

 実はこの姉妹の子孫であることを知った北沢典子はこれも何かの縁だと、忠義な猫を偲んで新しい墓を建ててやるのだった。

 なんというハートウォーミングなお話でしょう。ペットは大切にしなければいけませんねえ。さて、化け猫映画といえばかの入り江たか子が確立した、おどろおどろしいメイクアップが有名です。ヘアスタイルはざんばら、目をつり上げて口は耳元まで割けて見えるようにペインティング。そしてなくてはならないのがアクロバチックな立ち回りです。この作品でもこういうお約束はちゃんと踏襲してます。

 で、問題なのはこのJACもびっくりのアクロバット風の殺陣。ここで必ず登場するのが悪者と打々発止の挙句にかます、バック転の連続技。女優さんがこんな事をするわけないから、ま、ここは当然、スタントマンの登場をあおぐ。ここが今回のポイントです!

 どーして男性ってバック転するとき両膝が外へ開いちゃうんでしょうねえ。体の構造上の問題ですか?直前まで招き猫のポーズでさんざ、悩ましげに暴れていていきなり、ガニマタになってバック転てのはかなりヘンテコです。おまけにムキムキなんですよね、ふくらはぎ。興ざめです、笑ってしまいます。

 今後、どうしても化け猫映画を作りたい!って方はぜひ、膝を閉じてバック転をしていただける方を、そしてできるだけ子持ちシシャモのようなふくらはぎをお持ちでないスタントマンを起用していただけるよう、切にお願いします。山崎浩子あたりなんかいかが?素面もイケるし。

 化け猫を現世におよぶ因縁話にしたのでSF色が増して面白かったんですが肝心の化け猫のアクションがあまりにも男性的だったのが惜しい!それにしても猫は化けるけど犬はどうなんでしょうねえ。化け犬映画って聞いたことないんだけど、もしあったとしたらどんな犬種が適当でしょうか。やはり和犬ですよね、もし柴犬だったりしたらかなり笑える作品になると思いますけど。誰か作ってくれないかなあ。

1997年08月02日

【追記】

※本文中敬称略


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■日のあたらない邦画劇場■

file updated : 2003-05-16