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初春狸御殿


■公開:1959年
■制作:大映
■監督:木村恵吾
■助監:
■脚本:木村恵吾
■原作:
■撮影:
■美術:
■音楽:
■主演:市川雷蔵
■備考:吹替え。


 「狸御殿」は新橋演舞場で上演されたことがある。国産ミュージカルというのはなかなか育たない。やはり唐突に歌ったり踊ったりということに恥ずかしさがあるからだろうか?

 狸の世界のミュージカル。狸御殿のキヌタ姫・若尾文子はわがままなお姫様(ピッタリだ)。家老狸・中村雁治郎がまとめた政略結婚が気に入らないというわけでプイッと家出してしまう。泥棒狸・菅井一郎の娘、オキヌちゃん・若尾文子・二役は父親思いのやさしい子。薬売狸のクリスケさん・勝新太郎はオキヌちゃんが大好き。キヌタ姫に入れ替わったオキヌちゃんは隣国の若様、狸吉郎・市川雷蔵に一目惚れされ、家出したキヌタ姫はさんざんな目にあって、、。結局はみんなうまくいってメデタシとなる。

 マゲモノミュージカルというジャンルを築いた名シリーズの一遍。

 見所は全国の名物を織り込んだご当地ソング(民謡)を市川雷蔵と若尾文子、奥女中たち(全員、狸)が歌って踊る壮大なレビューシーン。お祭りスタイルの水谷良重の演歌風の歌唱は迫力満点でした。水谷良重ってすごく体格良かった(はっきりいってデブ)んですね、昔は。今はスリムですけど。そういえば東宝の「夜の流れ」(1960年・東宝)では金太郎って名前の芸者役でした。

 家出したお姫様とオキヌちゃんのエピソードは「王子と乞食」風。それにしても中村雁治郎の狸メイクはドンピシャでした。ヒヒ親父ならぬヒヒ狸。町娘のオキヌちゃんと狸吉郎君とのお見合いシーンでやきもきするところが、笑えました。こういうオメデタイ喜劇には芸達者な俳優が欠かせませんね。泥棒狸の菅井一郎もいかにも昔気質のオヤジさん然としていていい。オキヌちゃんの一途さに改心するところもホロリとさせられます。

 カッコよく宝塚の大階段みたいなところから登場した市川雷蔵が「ようこそみなさま〜」みたいな歌を歌うのですがしっかり吹き替えでした。う〜ん残念。対して、白塗&目ばりビシバシの勝新太郎は、スパーキーヘア&ビキニスタイル(かなりエッチです)の河童ギャルと共に、渋いノドを披露してくれました。

 最近、狸御殿は舞台になりましたね。狐や狸というキャラクターはもっとどんどん利用できると思うのですよ。日本の伝統的なフェアリーアニマルでしょ?「平成狸合戦ぽんぽこ」みたいにアニメだけじゃあいかにも惜しい。狸御殿シリーズはこのほかにもたくさんあります。宝塚の男役の人が狸吉郎やるのが有名らしいですね。宮城千賀子だったと思いますが。

 今だったら誰が適当でしょうか。キヌタ姫にはやっぱ、松たか子、狸吉郎君にはミュージカル系っちゅうことで別所哲也なんかどうでしょうかね。泥衛門が西田敏行、家老は三国連太郎、それじゃあ「釣バカ」になっちゃいますか。

1997年01月05日

【追記】

※本文中敬称略


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■日のあたらない邦画劇場■

file updated : 2003-05-16