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紅の海


■公開:1961年
■制作:東宝
■監督:谷口千吉
■助監:
■脚本:国弘威雄
■原作:
■撮影:
■美術:
■音楽:
■主演:加山雄三、夏木陽介、佐藤允
■備考:星由里子にフラれる加山雄三。


 相当に年期の入った漁船の若船長、夏木陽介加山雄三は幼馴染み。お互いの船の乗組員たちが呆れるほど、寄るとさわると喧嘩を始める。海の上に出ればすぐ競走を始め、陸へ上がれば親友の妹・星由里子の奪いあい。ある日、漁に出ていた加山の船に親友の船からSOSが届く。どうやら海賊に襲われたらしい。そして親友は殺されてしまう。

 海保の佐藤允も加山と夏木と仲良し。親友の仇うちに燃える二人を陰ながら守ってやる。加山が海賊船に潜入した。夏木が自分の船に加山の船の乗組員たちを乗せて後をつける。ついに正体をあらわした海賊のボスは、荷役会社の社長・松村達雄だった。

 二人の若衆の他愛もない喧嘩の威勢の良さは見ていて気持ちがいい。海の上で見せる豪快な漁のシーンも元気いっぱいだ。いつもは適当にいがみ合ったりからかったりしているが、イザとなったときの団結力、海の無法者との壮絶な撃ちあいシーンはダイナミックの一言。加山、夏木、佐藤の若手スターの御披露目に終わらず、男性的な迫力満点の海洋映画に仕上がった。

 海の上のバトルを盛り上げてくれるのは円谷英二監督の特撮である。漆黒の闇に船上からライフルの火花がまるで夜光虫のようにきらめき、銃撃戦のすごさを表現。二隻の海賊船に追い詰められピンチになって「最後の手段だ!」って叫んだ夏木が、海賊船に体当りを敢行するところは、まるで船が生き物のように躍動感にあふれていて実に見事。

 星由里子に対する、二人の思いが殴りあいで発散されるシーンはまるで西部劇のようなノリ。まあ多少、かったるいと言えないこともないけどね。こういうストレートな表現ってのも、ちょっと気恥ずかしいけど、なれるとイケる。

 でもねえ、小杉義男(「モスラ」でインファント島のケバイ酋長だった人)の息子が加山雄三ってのは信じ難いなあ。いくら映画でもやっていいことと、いけないことが(そんなたいそうな)あるよね。ちなみに夏木陽介の父親役は田島義文、こりゃあ許容範囲だな。加山の実父・上原謙は海保の偉い人の役でゲスト出演してます。あいかわらずノーブルで素敵。

 この映画の後口がいいのは、ラスト。事件が解決し、さて、星由里子にあらためてプロポーズと思った加山と夏木に差し出された封筒。なんとそれは星由里子の結婚式の招待状なのだった!あっけにとられる二人の表情がグーだ。特に常勝、加山の顔がイイ。「星由里子にフラれる加山雄三」これは貴重なシーンだぞ。男たちが兄貴の仇をうつため決死の努力をしている間にちゃっかり、別のオトコを見つけるなんて、、スミちゃんは、いつでも小悪魔なのさ。

 谷口千吉監督の作品では超珍しく善良な一般人だった中丸忠雄草川直也。東宝ファンにはお馴染みでしょうが、この二人はたいてい途中で裏切る。今回は最後まで気風の良い若者でした。その代りといってはなんだけど、松村達雄の悪役は珍しいよな。ああいうふうに普段は好々爺、しかしてその実体は?ってほうがリアリティある。側近の平田昭彦(様)がいかにも!って感じでこれもいい。さらに手下のチンピラ・田中邦衛も意地汚ないムードが出ていて良かった。

 ちなみに中丸忠雄は次作品「紅の空」では悪玉に、松村達夫は善玉になります。 ああ、やっぱり。

 特撮を一般映画に本当に上手く取り入れた作品だったと思います。え?怪獣がいたろうって?だからそれは小杉義男だってば。

1997年03月04日

【追記】

※本文中敬称略


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file updated : 2003-05-16