月光仮面・第一部/第二部 |
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■公開:1958年 |
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絶対にダサイんだろうなあと思って見ていたらあまりにも面白くて。 そりゃあね、月光仮面の衣装がヘンテコだとか、バイクのスピードが遅いとか、時代が古いがゆえに可笑しいところもありますが、1シーン1シーン丁寧に撮ってるし、画面の密度感はなかなか贅沢だったと思います。悪者一味が「ソフトにトレンチコート、覆面つき」ってお揃いスタイルだったり、どくろ仮面の衣装がちょっと、、って、アラをさがせばいくらでもありますけどね。ここはひとつ当時のチビッコになったつもりで(ちょっと慣れるまで時間かかりますけど)楽しんじゃいましょう。 悪者一味のオババが原泉、そしてどくろ仮面が佐々木孝丸っていう左翼演劇界の重鎮コンビってのは豪華ですよね。デザイン云々を除けると、特に悪役サイドの芝居は充実。わざとらしいオーバーな演技ではなく、バカにせず、程々に怪しそうに、悪そうに、わかりやすくて凄味があるんですね、これが。犯人もなかなかわかりません。 正義の博士が宇佐美淳、祝十郎探偵は大村文武。どう考えてもこの人が月光仮面。その弟子が柳谷寛と若水ヤエ子ってのもいいでしょう?漫画みたいな世界にリアリティを与えてくれるのは、これらの達者な俳優達の真面目な芝居です。どくろ仮面の手下のアラブ人は沢彰謙。いつ見ても国籍不明ですねこの人は。 孤島にどくろ仮面を追いつめるところ。ヘリコプターを動員し(しかも月光仮面が操縦してます)岩場でホバリングさせるところなんざあ、もう立派な大人のアクション映画です。ところで木村文武がヘリ操縦できたとは思えませんから、あれ、プロのパイロットに月光仮面の扮装させたんでしょうね。おまけにピストルまで撃ってくれます。なかなか役者のパイロットってとこですかね。 月光仮面て犯人つかまえてちゃんと警察に渡す人だと思ってたんですが違うんですか?この作品では岸壁にどくろ仮面をおいつめて、その仮面を剥がします。「誰だおまえは!」と、どくろ仮面が言うと「ふふふ、知りたいか?私の顔が」って言いながらサングラスをはずします。もちろん画面に顔は出ませんが。「あ!おまえは(見たことあるぞ)!」と叫んだどくろ仮面をそのまま崖から墜落死させます。う〜ん冥土の土産ってことですか?「長崎奉行」(中村錦之助が昔やってた、仕事人もの。田中邦衛がメス投げる。)を思い出しちゃいましたよ。けっこう酷いことすると思いませんか?実際、自己顕示欲が強いヤな奴だったのかも。 このようなわけでテレビやほかの「月光仮面もの」は見てないんですけど、シリーズ第一作の1〜2部は結構、面白かったです。慣れるまでちょっと、時間かかりますけどね。 (1997年01月28日) 【追記】 |
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※本文中敬称略 |
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file updated : 2003-05-16