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バトルヒーター


■公開:1989年
■制作:アミューズ・シネマ・シティ
■監督:飯田譲治
■助監:
■脚本:飯田譲治
■原作:
■撮影:
■美術:
■音楽:
■主演:パッパラー河合(爆風スランプ)
■備考:教訓:モノは大切にしなければいけません。そして、アメリカ人のように落ちているものをむやみに拾ってはいけません


 言っとくが、この映画とバトルフィーバーJは無関係だ。  

 下駄箱があるような木賃アパートに住んでいるパッパラー河合柄本明とともに、電気用品のリサイクルを生業としている。バタ屋ってやつですか?あれは機械モノ専門?ああ言う技術って今や貴重ですよね。いかけ屋さんとか傘の骨接ぎ屋さんとか。と、それはともかく。ある日、古びたコタツを拾った彼は自室に持ち帰るが、そのコタツの正体が「人喰いコタツ」であったためにパニックが起きる。

 コタツの封印には古銭の様なバッチが使われており、これが外れてしまったことからコタツは徐々に凶悪な本性をあらわしていく。でも、そこはコタツである、最初はあくまでも接触してきたスキだらけの被害者を餌食にするだけだった。その「喰われ方」と木賃アパートの古びた住人達のちょっと不気味な生態が本映画の構成要素。

 謎の老夫婦(今福正男原ひさ子)。口癖は「私たちが人様に迷惑かけたことがあったかい?」「いーえ、一度も」で、それが自慢。ゆえに、この夫婦は(カップルは、のほうがイイ)心中した後、部屋にめぐらしたからくりで白黒の式幕と位牌が自動的にセットしてしまう、なんて言うと悲しい映画かと思うでしょ?だけど、平気。全然平気なバカバカしいオチがついているので安心してね。

 河合の隣室にパンク野郎がいて、これが毎晩毎晩うるさくてかなわない、そのリーダーがモヒカン・ツンツンヘッドの岸谷五郎。土壁を頭突きで突破して河合の頭を剃り上げ「ちょんちょりん」をつけてしまう。あ、言い忘れたが河合は映画の前半はヅラをつけているので普通のヘアスタイルである。「剃られた」というよりは「元へもどった」だけ、なので違和感は特にない。

 亭主(小倉久寛、ただし上半身のみ、しかも人形)を殺害した室井滋が恋人の小宮(コント赤信号)とともに亭主の死体をバラバラに切り刻んでいる。小倉の人形があまりに「見事な」出来映えなのでびっくり。どこかで「本物」と入れ替わっているのだろうか?で、小倉の名前が「新田(しんでん)まんねん」という。死体も室井も小宮もコタツの餌食になる。

 コタツがあくまでもコタツとして葬儀屋の手首をサクッと食べたり、ザコ寝をしていた若者達(あ!富田靖子だ!)を舐めたり、ってところは良かったが、いよいよ機動力を発揮してからはどうもダサかった。コタツのヒータ部分が「口」になっていて、そう「リトルショップオヴホラーズ」的な味わいである。立ち上がってよっこらよっこら歩いてくるところは、ちょっと微笑ましかったなあ。

 柄本明がお手製のガンダムとかパトレイバー(しかもリサイクル品)みたいのを作ってコタツに立ち向かう。なかなか勇ましい。が、結局は河合が彼女にペンダントとして送った「封印」をコタツに打ちつけて退治するのだ。封印を金槌でトンカン打っている姿をスローモーションで印象的に、、「2001年宇宙の旅」みたい!って、じゃあなにか、パッパラー河合は猿(人類の祖先)か?いきなり封印がパキーンと割れちゃったりしてヒヤヒヤさせるが、一応、人類の勝利となる。

 謎の坊主がサンプラザ中野。これはヅラではありません。

 コタツに入るときの人間の無防備さ、コタツという道具の持つ安心感を逆手にとったアイデアと「バトルヒーター」という人を喰ったようなタイトルがお洒落なお笑いホラー映画。「バトルフィーバー(J)」とは関係ないですからね、念のため。

1997年05月18日

【追記】

※本文中敬称略


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■日のあたらない邦画劇場■

file updated : 2003-05-16