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直撃!地獄拳 大逆転


■公開:1974年

■制作:東映

■監督:石井輝男

■助監:

■脚本:石井輝男、橋本新一

■撮影:

■音楽:

■美術:

■主演:千葉真一

■寸評:珠玉の大バカ&空手アクション映画の続編。


 「直撃!地獄拳」とその続編を観た人が学ぶことは「馬鹿は反省できない」ということだ。

 前作(「直撃!地獄拳」)のラストで200億円相当の麻薬をフイにした千葉真一佐藤允郷英治の三人が再び池部良中島ゆたかに召集される。いいかげん懲りないのだろうか?

 今回の任務は慈善家の外国人から盗まれた宝石「ファラオの星」を取り戻すこと。依頼人は保険会社の社長・丹波哲郎とその秘書・志穂美悦子。やることがミエミエだぞ、あんたたち!

 千葉と佐藤と郷は互いの酒にフケや鼻クソを入れて楽しんだり、生卵とトマトジュースをかけ合ったりしてまるで子供の喧嘩のようなバカ騒ぎを延々と繰り返す。特に強力接着剤でテーブルに左手をくっつけてしまった郷英治は、映画の終盤まで「手のひら形」に切断したテーブルの断片を左手に貼り付けて登場する念の入れよう。

 セスナから降下し高層ビルに潜入する計画を立てた三バカトリオ(千葉、佐藤、郷)は、特攻隊スタイルの佐藤允が運転する恐怖のセスナで飛び立つ。散々アクロバティックな飛行を披露したこのセスナ、なんと高速道路のトンネルまで通過するのだった。最後に「着陸させる自信がない」という捨てゼリフを残して佐藤允がパラシュートで降下してしまった後、無人になったセスナの行方は誰も知らない。

 郷は腕っぷしだけでなく実は金庫破りの名人でもある。バカな癖に妙にプライドが高い郷は、おいそれとは協力してくれない。そこで、千葉と佐藤がおだてにかかる。「おまえ頭良いなあ、お母さんも頭良いんだろ?清心女子大か?」という意味不明の台詞にのぼせてあっさり協力を承諾するのであった。

 今回も千葉真一の「お笑いカラテ」が炸裂!安岡力也の片目が飛び出し(こればっかし)、名和宏の前歯が折られる。さらに主犯の名和には首を90度づつ回転させるという残酷な回し蹴りが見舞われる。首を一回転させられ、場内大爆笑の渦の中、息絶える名和宏。

 ラストはやっぱり出ると思った「女ドラゴン・志穂美」が華麗なアクションを披露して、実は刑事だった丹波哲郎が「キイハンター」まるだしのソフト帽姿で三人を逮捕する。

 そして「網走刑務所」に送られる三人。そこには鬼寅親分・嵐寛寿郎が待っていたのだった!タイトルバックの「鬼寅登場?」という謎めいた(そしてミエミエの)テロップがこれだったのか。

 最初から最後まで観客の腹筋は鍛えられっぱなしであった。

1996年10月11日

【追記】

※本文中敬称略


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■日のあたらない邦画劇場■

file updated : 2003-05-16