危険な英雄 |
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■公開:1957年 ■制作:東宝 ■監督:鈴木英夫 ■助監: ■脚本:長谷川公之 ■撮影: ■音楽: ■美術: ■主演:石原慎太郎 ■寸評:三船敏郎のゲスト出演が唐突なジャーナリズム批判映画。 |
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石原慎太郎は制作系の社員として一瞬だけ東宝に在籍していたことがあるらしい。本作品は石原慎太郎のその後の人生に鑑みて、あまりにもストレートなタイトルが偶然とは言え、大笑い。だがテーマは極めて今日的である。 石原慎太郎は新聞記者。他社に出し抜かれて地方へ飛ばされた先輩の後釜として警視庁番になる。とにかく彼は野心家で、ライバルの記者・仲代達矢とことごとく張り合う。 ある日、さる大手メーカーの6歳になる息子が誘拐された。 警察に届けた被害者の姉の令嬢・司葉子と刑事主任・志村喬の話を立ち聞きした仲代達矢はスッパ抜こうとするが、「子供の生命」を優先するように志村に説得され記事を抑えることにする。ところが慎太郎が翌日の朝刊に記事を掲載したため、身代金受け渡し現場に犯人が現われず捜査は困難を極める。 報道のモラルが個人の判断、それも功名心とやらでタガが外れてしまう場合。まだ報道協定なんてなかった時代なのだろう。それにしても慎太郎の記者の行動は目に余る。悲しみに暮れる司葉子に「報道があればこそ弟さんは助かる」と強引に説得して手記を書かせたり、犯人を刺激することを恐れた警察が非公開にしたモンタージュ写真を盗み撮りする。 そしてモンタージュ写真を新聞配達の少年達に携行させて独自に犯人探しをやらせる。運良く犯人の宮口精二を目撃した少年がいた。彼は「誰にも言うな(慎太郎除く)」と厳命されていたが、事の重大さを認識していた良い子だったので付近を警戒中の巡査に通報する。エライぞ、坊主!ところがこの事実を知ったトンチキの慎太郎は「馬鹿野郎!」と怒りだし、犯人のモンタージュを新聞発表してしまう。 鈴木監督は石原慎太郎の演技以前の「芝居」をもちろん良いとは思っていなかったようだが、石原慎太郎の後半生を見てきた現代の観客にとっては実に「適役」と映る。「傲慢」をキャッチフレーズにしていたが、実際はなにをやっても(結果的に)中途半端だった石原慎太郎。この映画の主人公もまた、なりふり構わず突進し、得意の絶頂から絶望のどん底へあっさりと叩き込まれる。 逮捕された犯人は「新聞に顔写真が載った」ため焦って人質の少年を殺してしまっていた。登場人物と観客が予測した最悪の事態。泣き崩れる両親にコメントを要求した慎太郎は、司葉子に思いっきり平手で張り倒される。私なら「グー(げんこつ)」でいくところだ。それでもめげない慎太郎だったが、新聞協会からの抗議にビビった部長にあっさりと地方局へ飛ばされる。 雑踏の中を憤然と去る慎太郎。彼の姿は観客の嘲笑を誘いもするが、はたして自分が彼の立場だったら?という疑問を抱かせたりするのだった。 さて、三船敏郎はどこにいたかというと、慎太郎の新聞社が企画した「犯人に自首を呼びかけるメッセージ番組」に登場する「人気プロ野球選手」なのでありました。ジャンジャン。 (1996年10月11日) 【追記】 |
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※本文中敬称略 |
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file updated : 2003-05-16