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怪獣総進撃


■公開:1968年

■制作:東宝

■監督:本多猪四郎

■助監:

■脚本:本多猪四郎、馬渕薫

■撮影:

■音楽:

■美術:

■主演:久保明

■寸評:「ジュラシックパーク」なんかよりこっちのほうがスッゲーぞ!


 中坊ですでに映画漬けの日々を送っていた筆者は、この映画を学校の文化祭で上映し喝采を浴びた。16ミリフィルムを手回しで巻戻してた時、イキオイがつきすぎて台から外れ、キングギドラのアップでフィルムをぶち切ったのは私です。今となっては懐かしい思い出。

 野生の動物だけでなく怪獣の保護にも目覚めた人類は「怪獣ランド」を建設し、ゴジラ親子、ラドン、マンダ、アンギラス、ゴロザウルスなどが「共食い」しないよう生活圏を分類して飼育していた。ある日、怪獣ランドのコントロールセンターに異変が起こり怪獣達が脱走する。世界各都市に分散した怪獣達が破壊活動を開始する。

 これは銀ラメ・ボンデージファッションの美女エイリアン軍団(正体は金属)・キラアク星人が怪獣達をあやつって地球を滅亡させる計画だった。思いつきで活躍するヒーロー・久保明が率いる決死隊がけっこうカッコイイ宇宙ロケット・SY-3号で月面に要塞を建設していたキラアク達の怪獣コントロールセンターを破壊する。

 伊豆に完成した地球軍のコントロールセンターから怪獣達を操作しキラアクの地球基地を粉砕すべく怪獣達に向かわせた。が、そこへキングギドラが登場し怪獣オールスターと対決する。いつも「ハンディキャップマッチ」を設定されて気の毒なキングギドラだが今回も奮戦空しく劣勢に立たされる。

 そこへ怪獣に偽装した宇宙船が登場、伊豆のコントロールセンターを破壊してしまう。が、どっこい怪獣達は富士山でキラアクの要塞を探索し続ける。怪獣軍団の頭・ゴジラがこれを発見し「ダチ」共に総攻撃を指令、ついにキラアク星人は粉砕されるのだった。

 キラアクと地球軍のコントロールを失った怪獣達が「正気に戻る」わけだが、元々気の荒い「お歴々」である。どうなることかと思ったがちゃんと自分達の縄張り(地球)荒しにやってきた「ヨソモノ」を察知しやっつけてくれるのだった。ホリゾントに描かれた富士山の背景に勢ぞろいした怪獣達。歌舞伎の顔見せ公演のような華やかさが嬉しい。

 「怪獣達は地球の(人類の、ではなく)守護神なんだ」という考え方はゴジラの登場以来、連綿と受け継がれてきた本多猪四郎監督の普遍のメッセージなんですね。ただアメリカ映画の様に声高に言葉で呼びかけなかっただけ。

 一般に私は怪獣って好きなのだが「クモンガ」と「ミニラ」だけは好かん。ただでさえ「虫」が嫌いなのに「人面グモ」だぜ、クモンガって。あと、蛇足ながら「南海の大決戦」のエビラもダメなのよ、甲羅のイガイガが、ゴキブリの足のトゲを連想させるから。トイレの窓にはり付いた女郎蜘蛛に「顔」がついてるの想像してちょうだいな。

 それとミニラだ。別にキャラクターが嫌いなのではなく肌のテクスチュアが「草もち」みたいなのが生理的にイヤ。「食べ物であそんじゃいけませんよ」と幼いころから教育されてきた私は「直立歩行する草もち」状のミニラがどうしても許せなかった。やはり草もちは食べてこそ美味しい。

 「ジュラシックパーク」って案外、この映画にヒントもらってんじゃないかしら?精神的に、かもしれないけどさ。

1996年10月11日

【追記】

※本文中敬称略


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■日のあたらない邦画劇場■

file updated : 2003-05-16