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網走番外地 決斗零下30度


■公開:1967年
■制作:東映
■製作:
■監督:石井輝男
■助監:
■脚本:石井輝男
■原作:
■撮影:
■音楽:
■美術:
■主演:高倉健
■ワンポイント:引田天功・マジック指導


 列車の中で「生まれる〜」と大騒ぎ。網走刑務所を出所したばかりの高倉健が覗いてみれば網走仲間のオカマが、女に化けて旦那から金をせしめようと一芝居うっているところだった。列車の中で健さんは網走仲間・田中邦衛の娘・チエに出会い、一緒に父親の所へ行くことにする。

 列車には正体不明の若い男・吉田輝雄と訳あり風の若い女が乗っていた。チエを万屋に預けて、ソリを借りた健さんが訪ねた先は炭鉱で、そこにはガラの悪い現場監督・田崎潤がいた。健さんにブッ飛ばされたのを逆恨みした田崎は乗ってきたソリ馬を叩き殺す。待遇の悪い職場で体を壊している田中邦衛に代わって炭鉱に入る健さん。

 炭鉱の社長・安部徹はどうやらあくどい手口で、列車に乗っていた若い女の父親から炭鉱の権利を奪ったらしい。健さんが世話になる酒場の経営者・丹波哲郎には妹・大原麗子がいる。丹波は安部に脅されて炭鉱に爆薬を仕掛けて落盤事故をおこす。この事故で田中邦衛が死ぬ。安部徹は一度は権利書の譲渡に応ずるが、帰路についた女と大原麗子と吉田輝雄の乗ったソリを田崎潤とその手下の荒くれどもに追跡させる。父親の死を知って泣き叫ぶチエの声に丹波哲郎が目覚め、田崎の後を追うが銃撃され健さんに看取られて死ぬ。

 でもって、この後はいつものとおり義侠心に燃えた高倉健が大雪原で馬を駆り、田崎潤と安部徹たち悪者共をやっつける。吉田輝雄はライフル射撃の名人で、逃げる田崎の子分を万屋の屋根の上から狙う。ライフルケースを持って屋根に登りライフルを組み立て始める吉田に「なにやってんだよお、早くしろよ」とせっつく健さん。ニヤリと笑った吉田がようやく引き金を引く。走り去る馬。「なんだ、はずれじゃねえか」と白ける健さんに「あの(すごーく遠くの)一本杉のあたりだな」と吉田。二人が後を追うと、件の杉の木を通りすぎたところで男が息絶える。「ちょいとずれたな」と悔しそうな吉田。呆気にとられる健さん(と観客)。

 キザなスナイパーの吉田は器用なところを自慢したいがために、いきなり、銀の皿に火をつけてそれを胸ポケットに仕舞いこんで花を出す、という古典的なテーブルマジックを列車の中で披露する。そんな「宴会の小道具」をいつも持ち歩いている奴なんてどうかと思うが、このオシャレな姿に感動した炭鉱主の娘に、用心棒として採用されるのだった。ただしマジックの仕掛けがヘボだったためか、しばらくすると吉田の胸から煙が上がり大騒ぎになる。

 吹雪の中、田崎に捕まって絶体絶命の吉田輝雄と大原麗子を、林の中からヌーっと現われた鬼寅親分・嵐寛寿郎が助ける。どうしてこんなところに!デルス・ウザーラか、あんたは!と叫びたくなるところであるが、まあいい。

 一件落着してヘリコプターで脱出する嵐と健さん。ところが定員オーバーだったので墜落寸前になる。いきなり地上15メートル(推定)のあたりから飛び降りる健さん。極寒の雪原に一人取り残された健さんを心配する嵐寛寿郎に「大丈夫だよお!零下30度なんて屁でもねえよお」と元気良く叫ぶ健さん。この台詞、「八甲田山」で聞きたかったゼ。

1996年09月18日

【追記】

2005.05.03:修正のご連絡。「大丈夫だよお!零下30度なんて屁でもねえよお」という台詞は「網走番外地 北海篇」でした。ご指摘頂きありがとうございました。でも、好きな台詞なのでこの項で紹介しておきます。

※本文中敬称略


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■日のあたらない邦画劇場■

file updated : 2005-05-03