地球防衛軍 |
|
■公開:1957年 |
|
富士山の麓の村で夏祭の夜、ダブルデートを楽しんでいた、平田明彦(様)、佐原健二、白川由美、河内桃子の4人。突然発生した山火事。火災現場にたどり着いた村人たちの眼前で信じられないことが起こった。火事は森の木々に燃え移っているのではなく、地表から噴き出していたのだった。 数日後、その村が大規模な山津波に見舞われる。現地で研究を続けていた平田明彦(様)を含む、村人全員の生存が絶望視された。調査隊に加わっていた佐原健二は、巨大なロボット(モゲラ)に襲撃される。佐原健二は山火事の当日、空飛ぶ円盤を目撃したことを、恩師の志村喬に報告する。 巨大な地鳴りとともに、全滅した村のそばにドームが出現する。それは宇宙のボヘミアンであるミステリアンと名乗る宇宙人の基地だった。ミステリアンは「移住したいので少しの土地と地球人の女性との結婚(セックス)を認めてくれ」と慇懃な態度で要求。ところがこれは嘘っぱちで「地球は俺たちがそっくりいただくぜ!」と急に高圧的になる。さあ!どうする人類! 東宝の特撮映画ではよく、入浴シーンやお着替えのシーンが登場する。ラドンの河内桃子とか、「液体&電送人間」の白川由美とか。この作品でも夜半にモゲラが市街地を襲撃するとき、白川由美がお風呂に入っている。何のため?そりゃやっぱり子供と一緒についてきたお父さんのためなんだろうな。うん、きっとそうだ。お母さんはどうする?そこまで考えている余裕はないか。 この映画はずいぶんたってから東宝のチャンピオンまつりでリバイバルした。そのとき、私の周辺で流行ったモノマネが「ハロルド・コンウエイ博士」だった。東西冷戦時代にミステリアンという人類共通の敵を退治するために、世界中の科学技術が一致団結してガンバルわけだ。ここで登場したのが、「マーカライトファープ」。パラボラアンテナ状の兵器で、ミステリアンの熱線を吸収し、倍にしてお返しするというもの。コンウエイ博士はこれをたどたどしい日本語で報告する。 「グッ、ニュース、グッ、ニュース、みなさんヨリこんでください。あたらし、きっかいです。カンタンにいうと、ちょけいにはくめとるのレンズでゅす」 さてこれを正しい日本語にすると、、、 「グッドニュース、グッドニュース(ここは英語だからコンウエイさんの発音が正解)、皆さん喜んでください。新しい機械です。簡単に言うと直径二百メートルのレンズです」 これを聞いた友達は何かにつけて「グッ、ニュース!」を連発し、「きょは、はやくかえるでゅす(今日は早く帰るんです、の意。)」と、普段の会話まで「コンウエイ節」で決める始末であった。 宇宙人の顔をフルフェイスのヘルメットでそっくり覆っている。目の動きが読めないので不気味な感じが増幅。宇宙人の親分は土屋嘉男。本人は顔がまるで見えないこのキャラクターを「宇宙演技」と評したそうだ。いい人だなあ土屋さんて。 ハリヤー戦闘機が開発されるはるか昔、すでにこの映画では横倒しの状態で垂直上昇するロケットを見ることができる。モゲラはモグラのイメージで、地中をドリル状の手で掘って進む。だけど頭が弱そうで案の定、爆破された鉄橋で足を踏み外してコケたり、裏をかいて防衛軍の後ろに回り込もうとし、頭を出したところへマーカライトファープが倒れてきて、思いきり頭をぶつける。粗暴だが憎めない奴。 宇宙人に与していた平田明彦(様)が最後に裏切って、囚われていた地球の娘たちを助け出す。ちなみになんでミステリアンは地球の女を狩り集めたかというと、ミステリアン同士がセックスすると「卵子の受精率が悪いから」という究めてストレートな理由によるのであった。ヤルためだけに女をさらっていたという、すごい宇宙人たち。やはり一緒に見ているお母さんのことはこれっぽっちも考慮していないな、東宝は。 ミステリアンドームに向かった科学者たちを護衛すべく富士山麓に赴いた自衛隊の中にいるのが、名前が出たばかりの中丸忠雄。初々しいっていうか、動きがカタイぞ。 (1996年09月18日) 【追記】 |
|
※本文中敬称略 |
|
file updated : 2003-08-17