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犬シリーズ 早射ち犬


■公開:1967年
■制作:大映
■製作:
■監督:村野鐡太郎
■助監:
■脚本:藤本義一
■原作:
■撮影:
■音楽:
■美術:
■主演:田宮二郎
■ワンポイント:


 大きな声じゃあ言えないが、天知茂は相当に小柄だ(そんなの見ればわかるが)。長身の田宮さんと並ぶと、正直な話、見事なデコボココンビである。つまり見た目には十分「オール阪神・巨人」な名コンビと言えよう。

 田宮二郎がその生涯において出演した数少ないヴァラエティ番組「8時だよ全員集合」。小学校の教室コントで彼は、いつものシリアスな表情を崩さず、半ズボンに学童帽(黄色)で頬に真っ赤な紅を描いて舞台に登場した。あの長身に黒のランドセルがまるでハエがとまっているように見えたのと、志村けんのことを「しに(死に)むら君」と呼んだギャグに呆然としたことをまるで昨日のことのように思い出す。  

 風来坊の鴨井大介・田宮二郎はギターを担いで「流し」のアルバイトをしている。友達の小沢昭一が殺人犯として追われていることを知った鴨井は、小沢の身重の妻・坂本スミ子と流し仲間・藤岡琢也とともに真犯人を探す。どうやら暴力団と関係のある新興宗教団体が黒幕と見た鴨井は、しょぼくれ刑事・天知茂が止めるのも聞かずに単身、彼等と対決する。

 田宮二郎の役者人生において「白い巨塔の財前」と並んで重要なキャラクターと考えられるのがこの「犬シリーズの鴨井」である。なにせ鴨井はおしゃれである。本作品でも白のハンチングスタイルで爽やかである。拳銃の曲撃ちが得意でそれが毎回の見せ場。

 釣り竿に仕込んだマシンガン(リールの部分が弾倉とトリガー)で、暴力団幹部・成田三樹夫の子分達をガーっとやっつける。深夜の東京・有明のお台場付近の空き地(今の臨海副都心のあたり)で、鴨井の銃弾に次々に倒れる手下達。「とうとう俺一人になった」と悲壮感を漂わす成田に、撃たれた奴らがぴくりとも動かないのにもかかわらず、「あほぬかせ、殺すよな撃ち方せえへんわい、ぜんぶカスリ傷じゃ!」と自信満々に断言する鴨井。残った成田をハンチングにピンズの様に装着した超小型拳銃で倒す。もちろん「かすり傷程度」で。

 雑草生い茂る荒れ地を、脱兎のごとく走り回る鴨井とやくざ達。街灯もない真夜中なのによく転ばないよなあ、まるで猫みたいな奴らだな、と感心していたが、つまり昼間のロケーションにフィルターかけているだけなのだった。暴力団の人質になっていた小沢とともに、新興宗教の道場へ乗り込む鴨井。そこへしょぼくれと警官隊がやってきて事件は解決する。

 田宮二郎としょぼくれ刑事の天知茂との掛け合い漫才にも通じる、テンポの良いやりとりも面白い。刑事に付きまとわれて産気づいた坂本スミ子を心配する鴨井が「流産したらどないするんじゃ!そしたらおまえ(しょぼくれ)が子供産めよ!」と天知に吠える。「血迷ったのか!鴨井」と答える天知、もっともである。

 鴨井のアパートに「おかま」がいて、これが財津一郎。謎の宗教団体は実は麻薬の密売もしていて、彼は厚生省の麻薬捜査官なのだった。「ひっじょーにさみしー」と「がんばってーちょーだい」という一発芸も裂烈するが、急にシリアスになって教祖を逮捕しに来るギャップも面白かった。

 二枚目スター田宮二郎が大映をクビになるまで続けた「犬」シリーズ。大柄でキザな田宮二郎と、小柄でシブイ天知茂の貴重な三枚目演技が堪能できる名シリーズである。

1996年10月02日

【追記】

※本文中敬称略


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■日のあたらない邦画劇場■

file updated : 2003-08-17