婚約三羽烏 |
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■公開:1937年 |
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上原謙の息子は加山雄三、佐野周二の息子は関口宏である。こうしてシニアの若い頃を鑑賞すると、代が落ちるごとに質の低下が起こることがわかる。劇場版「ルパン三世」でマモーも言っていたが「アナログはクローンコピーできない」のである、って何納得してんだか。 失業してヒモ同然の生活を送っている佐野周二はデパートの面接試験の控室で上原謙と佐分利信に出会う。上原は金持ちのお坊ちゃんで上品。佐分利は豪快で武骨なように見えて、結構お調子者。三人ともめでたく就職が決まった夜、お人好しの佐野が下宿している煙草屋の二階に佐分利が転がり込んでくる。佐野の恋人は愛想をつかして家出してしまっていた。 ある日、社長の令嬢・高峰三枝子がデパートにやって来るというので売り場の支配人は緊張する。特に無愛想極まる佐分利信に対しては「君は口を聞くな!」と命令する始末。どうも客の入が悪い。「僕に任せてください」という上原謙がデパートの入り口で思案顔をして空を見つめる。通行人がなんだなんだと集まってきたところでデパートの中に駆けこむ上原。つられて入った人々で売り場は一瞬ごった返す。そこへ高峰が到着。 人当たりがよくて素直な佐野が高峰の美しさに見とれている。高峰も気立ての良い佐野を気に入ったようだ。売り場に万引きが出没する。腕っぷしの強い佐分利がとっつかまえて売り物を取り返す。三人が三人とも高峰の前でイイところを見せる。 上原にはフィアンセがいる、佐野には恋人がいる、佐分利にも田舎娘の許婚がいるのだが、華やかで上品な高峰三枝子に一気に熱を上げてしまう。この単純明快さがいい。高峰は社長の娘であることを鼻にかけず、かといってあくまでも気品を失わず、まるで大輪の薔薇のようなあでやかさと美しさをふりまく。 三者三様の三羽烏だが中でも上原謙は、美しい顔が少しも嫌味でなく、高峰のことを考えると楽しくてしようがない、といった素直な演技が素敵だ。お転婆な妹にフィアンセの前で「就職祝に銀ブラにつれていって」とせがまれて渋々承諾し「わー嬉しい」と髪の毛をモジャモジャやられ「や、やめろよぉ」と言って(ちょぴり)怒る。上原は劇中ホルンを(本当に)吹いている。社長の自宅に招かれた上原がホルンを吹きその音色にうっとりとした高峰がウトウトしている。月の明り、豪勢なお屋敷の大きな窓に続いたテラス。ラタンの椅子にもたれてスヤスヤ眠る高峰三枝子。その寝顔に見とれる上原謙。まるで外国の映画でも見ているような美しさであった。 すっかり有頂天になった三人だが実は高峰三枝子には婚約者がいると知れてガックリ。それぞれの元彼女のところへ収まる。元々、お互いに憎からず思っていた上原と佐野はすんなりと行くが、佐分利は違った。どうやら彼は親の決めた許婚が嫌で東京へ出て来たらしいのだった。だが、田舎から追ってきた彼女は佐分利にぞっこんらしいし根性がありそうだから、たぶん佐分利はあきらめて結婚し結構うまくやっていくのだろうな、と思わせて映画は終わる。 高峰三枝子と父母が食事に出かける銀座の風景や当時の風俗がすごくお洒落な映画。 (1996年10月01日) 【追記】 |
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※本文中敬称略 |
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file updated : 2003-08-17