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国際秘密警察 鍵の鍵


■公開:1965年
■制作:東宝
■製作:
■監督:谷口千吉
■助監:
■脚本:安藤日出男
■原作:
■撮影:
■音楽:
■美術:
■主演:三橋達也
■ワンポイント:かのウディ・アレンがパロディを制作した映画。


 東南アジアのトンワン王国(もちろん架空)。同国の反政府ゲリラ「闇」は、横浜港沖に停泊した船の上で、賭博や売春をおおっぴらに行い、活動資金を稼いでいた。トンワン国王の依頼で、国際秘密警察の北見・三橋達也は、女スパイ・浜美枝、脱獄犯のコールガール・若林映子と協力して日本にある「闇」のリーダーの邸宅から、現金を奪おうとする。しかし邸宅にあると思っていた金は、実は「闇」の船上にあった。北見は、横浜の縄張りを荒されて、頭に来ていた国際ギャング団の中国人ボスを唆し、「闇」ともども自滅させる。東宝のスパイアクションシリーズ第4作。

 この「国際秘密警察」シリーズは三橋達也をジェームスボンドに見立てて、ボンドガールも配置し、世界を股にかけた主人公の大活躍を描いて、イアンフレミングの本家に迫ろうとした、野心的なシリーズである。

 昭和40年代になっても、東宝映画は、エログロ、ゲテモノ、バイオレンス&ナンセンスに走った他社とは一線を画していた。「親子で楽しむ」というキャッチフレーズのもと、ハダカや暴力が扇情的に走ることのない、健全娯楽映画を作り続けて現在に至っている。だが、そんな品行方正な同社にも、ほんのささいな冒険作というのがあった。それがこの「国際秘密警察」シリーズである。

 三橋達也はのっけから混血美女と車中で濃厚なキスをしている女ったらし。さすが和製007だ、しかも全然垢抜けてないってところが素晴らしい!のか?

 この作品に登場する、ゲリラ集団「闇」のリーダーがモーア人(??)の中丸忠雄で、ギャング団の中国人ボスが黒部進。前々作の「虎の牙」では親分子分だったが、今回は敵味方に分かれて闘う。

 ゲリラ組織の「闇」はトンワン国の「モーア人」という少数民族が組織しているという設定。首領のゲゲン(役名です)を演じた中丸忠雄は、ただでさえバタ臭い顔に、ドーラン塗まくりで褐色の肌、口髭、ウェーヴのかかったヘアスタイルに白のメッシュまで入れている。「オセロ」か、おまえは!と叫びたくなるほど。そういえばオセロは「ムーア人」だった。なんという分かりやすさだろう、っつうか、いい加減というか。

 今回は肝心の三橋達也よりも、中丸忠雄と黒部進の「ニセ外国人」対決に見るべきものがありすぎ。 もう完全にお笑いパートと化している。

 ゲリラの機密文書のテレックス(ここが時代を感じさせる)を手に入れた黒部進が、中丸忠雄と取り引きするシーン。多額の現金が入ったトランクを受け渡した直後、やっぱりなーという感じで、二人で撃ち会いになる。結局、中丸忠雄のほうが射殺されるのだが、勝ち誇った黒部はその札がニセ札だと気付いて大慌てするのだった。黒部進は「ウルトラマン」で一花咲かせる直前。頭が悪くて意地汚ない、ギャング団のバカ親分という役から、この後一気にスターになると誰が予想しえただろうか。人間、辛抱だ!

 ベッドの上で、ホットパンツ姿の浜美枝が何の脈絡もなく美容体操をしていたり、若林映子が胸の谷間をくっきり見せてベッドシーン(ただしそのものズバリ、ではない。前戯まで。)をこなしたり、微笑ましいスケベシーンも随所に登場する、東宝らしからぬキワモノ・アクション映画。

 で、この作品はウディ・アレンが英語に吹き替え(もちろん台詞はオリジナルとは全然違う)にして、再編集した挙句に「なにがあったの?タイガーリリー」というタイトルにしてしまったのである。アメ公の考えてることはよくわかりません。

1996年09月12日

【追記】

※本文中敬称略


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■日のあたらない邦画劇場■

file updated : 2003-08-17