大巨獣ガッパ |
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■公開:1967年 |
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南海の孤島、謎の土人、そして巨大な卵、なんだモスラじゃん?と思ったそこの人、ある程度まで正解です。日本怪獣映画最後発、かつ、これで打ち止めという日活映画史上初の怪獣映画です。 調査隊のリーダーは良識派の殿岡・小高雄二、同行したのは新聞記者の黒崎・川地民夫、カメラマンの小柳糸子・山本陽子、そして通訳兼ガイドのジョージ井上・藤竜也(サングラス無し)。あくまでも研究資料として、人間サイドとしては悪意無く持ち帰ったのが、巨大な卵から生まれた大巨獣、ガッパの赤ちゃん。これに芸を仕込んで一財産と考えたのがスポンサーの社長、船津・雪丘恵介です。 子供がいれば親がいる、というわけでかの孤島では子供を誘拐された、怪獣サイドとしては、両親ガッパがカンカンに怒り、村を破壊して子供を取り返すために日本へと向かいます。なんとコレ、怪獣映画の仮面をかぶったホームドラマだったんですね。 「親子の愛情」が色濃い怪獣として、先輩にはモスラとラドンがいるわけです。ラドンはラストで子(だと思うけど)が溶岩流にハマッてしまい、親(たぶん)がそれを助けようとして一緒に死んでしまう悲しいエンディングでした。モスラはゴジラと対決して力尽きた親の仇討ちを子供がやるという、なかなかハートウォーミングなお話でした。 子ガッパがこれまた人間(山本陽子にだけ)に甘えたりして結構かわいいので、商業主義の大人にいじめられるシーンは本当にかわいそうですね。子供(純粋)=正義、大人(不純)=悪、という図式がいかにも日活青春映画の系譜ではありますが。 親ガッパは熱海のあたりから上陸したためでしょうか、温泉地帯らしくゆで蛸をくわえています。長旅の「おべんとう」のつもりで捕まえた大蛸が、温泉であったまっちゃったんでしょうか?当時の少年雑誌の挿絵でガッパの解体図ってのがあって、胃袋の中に蛸が入っているのがあったんですが原因はこのシーンですね。 空港で親子三人(匹?頭?)再会を果たし、おもわず涙がホロリと怪獣の目から溢れます。そして仲良く「川の字」になって飛び立つ様はおもわず「良かったねえ〜」と思ってしまいます。ガッパを商売の道具にしようとした社長もすっかり改心して、川地民夫と山本陽子がくっついて映画は終了。そう、二人は夕日に向かってダッシュするのです。青春映画とはこうこなくっちゃいけませんよねえ。 この映画を有名にしているのが美樹克彦がコブシをぐるんぐるんいわせながら歌う、主題歌です。あんまりすごい歌詞なのでここにのっけておきますので宴会芸にでもご活用ください。メロディーまでお伝えできないのがとても残念ですが、そこは自分でなんとかしましょう。 もちろん日本音楽著作権協会、無視。 ♪火を吹く島か 空飛ぶ岩か ♪翼と翼ふれあうように 大空高く旋回すれば 松竹が何をトチ狂ったのか「宇宙大怪獣ギララ」を製作したのに刺激を受けて(?)日活までやっちゃいました的な興行成績ではあったけれども人間、何かにチャレンジする姿というのは美しいもの。それに、熱海の市街地のセットはなかなかよくできてたし。つまりこういう特撮映画というのは映像業界の技術職としては一度はやってみたい!のかな。 (1996年07月05日) 【追記】 |
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※本文中敬称略 |
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file updated : 2003-08-17