国際秘密警察 火薬の樽 |
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■公開:1964年 |
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日本映画初の本格的スパイアクションシリーズのジェームスボンドは三橋達也。ボ ンドガールは本物の若林映子(「二度死ぬ」参照)。 監督は東宝のB級アクション映画の雄・坪島孝。 ミサイルの誘導装置を研究していた日本人の竜野博士・田崎潤が誘拐されます。国際秘密警察から派遣された北見次郎(和製ボンド)が日本国警視庁の柳生警部・佐藤允とともに捜索を開始。博士は世界中の兵器を自由に操ってしまうという途方もない陰謀を企てている謎の組織に誘拐されていたのでした。 一人娘を人質に取られて陰謀への協力を迫られた博士はこれを拒否。開通したばかりの新幹線を爆破しようとした組織のたくらみは、駆けつけた北見によって防がれ、博士と娘は救出される。悪の研究所は爆破され悪い人たちは皆死んでしまってめでたしめでたし。 何のことはない話ですが、なんとか本家の007に迫ろうとした努力の跡が随所に見うけられ、しかもそれが殆どお話にならないレベルのパクリなので今観るとアゴがはずれるほど間抜けな映画になってしまいました。 まず劇中に登場する秘密兵器の数々。歯磨きチューブに仕込まれた金属腐食クリ ームとか電気シェーバーに仕込んだ通信機とか煙幕の出るパジャマ、、等々うれしくなるほどせこい仕掛けのオンパレード。世界的な陰謀を企んでる秘密組織の面々(殺し屋たち)がこれまた途方もなくアヤシイんですね。 義手に仕込んだ飛び出しナイフやら、火炎放射器やら、睡眠薬入りカプセルやらの得意技(武器)を、次々に惜しげもなく披露してくれます。しかもそれらの怪しいメンツがお互いを番号で呼び合うというのが、その、まあなんとも「あんたたちサイボーグ009の見すぎよ!」とでも申しましょうか、、。 さらにこの手の組織にありがちなマッドサイエンティストがたどたどしい日本語を操る外人という定石どおりでして。めくるめく繰り広げられるおもちゃ箱のような空間がスパークし続ける90分、長えよ、ったく。 トランポリンを使った乱闘シーンと言えば聞こえはいいんですが、ただぽんぽん跳ねるだけなので小学校の体操の時間を彷彿とさせて情けないことこの上ないです。テンポのかけらもないアクションも怒りを通り越して大笑いできます。 協力的でない正義派の博士を脅すために誘拐してきた娘をリョービの電ノコ台みたいのに縛り付け、あわや胴体まっぷたつ!迫る回転ノコギリとひきつる娘のアップがカットバックでハラハラ、ドキドキ。ハイテク兵器を開発している秘密組織のくせに石器時代のような脅しのテクニックなんですもん。 ワーナーブラザースの古きよき「カートゥーン」みたいなノリなんですね、でも実際にはアニメのキャラクターじゃなくて、実物の生身のイイトシこいた大人が大真面目でやってんですよね。 このテの映画は、悪党たちのノリが成否を決定すると言ってよいのです。この映画に登場する悪党たちはみな、実に真面目で間抜けで素晴しいのですよ。「キミワナニモワカトラン」とか、聞いていてイライラするほどのつたない日本語を話すハロルドコンウエイなんかね、地球の恩人(「地球防衛軍」参照)ですから、見てるほうは反応に困っちゃうんですね。 義手の殺し屋で一応、実行部隊のリーダー、郷田桜男・中丸忠雄ね。この人って真面目だから馬鹿馬鹿しい役どころの時ほど照れくさいから自分で無理やりテンション上げようとして必要以上に濃くなるんですよね。そいでああいう整った顔でクソ真面目にタコのおもちゃを見て「もしや秘密兵器では?」って観察しちゃうんです。好きだなあ、こういう人って。 6号(ルミ)・水野久美とキスして失神する8号・桐野洋雄、自分でもってきた硫酸浴びて死んじゃう14号・草川直也。 いやあ実にみんな素晴らしいですよ、本物の馬鹿で。 道路脇の植え込みに身を隠した三橋達也に向かっていきなり火炎放射器を発射!辺り一面を火の海にしてしまうドハデな暗殺シーンやらが超ミラクルな日本映画史上屈指のアクション・コメディ。 唯一の失敗は三橋達也に分別がありすぎたってことですかね。要するに「もう若くねえんだからよお」ってこと。あ、でも本家の007も相当なオジサンがやってたんだからこれは正しいリスペクトってことですかね?て言うかオリジナルが荒唐無稽ですからリスペクト版って大体へっぽこなんですよ「オースティンパワーズ」でしょ?「カジノロワイヤル」でしょ?それと「電撃フリントGOGO作戦」とかね。 そういう理屈だとこの映画、正当派ですね(フォローになってませんけど)。 (1996年07月19日) 【追記】 |
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※本文中敬称略 |
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file updated : 2003-08-17