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花くらべ狸道中


■公開:1961年
■制作:大映京都
■監督:田中徳三
■脚本:八尋不二
■原作:
■撮影:本多省三
■音楽:浜口庫之助
■美術:内藤昭
■主演:市川雷蔵
■寸評:雷蔵と勝新のナンセンスコメディ、狸御殿シリーズでは異色の珍道中モノ。


 狸御殿シリーズは、隣国の若様狸をめぐる恋のさやあてが定番のマゲモノミュージカルです。道中記になっている本作品は異色作だと言えるんですけど、面白ければどっちでもいいですよね客としては。

 狸世界のボスを決定する選挙が行われることになります。候補者は二人にしぼられました。阿波の狸は人望(狸望、か。ところでなんて読んだらいいのか)が厚いので断然有利と目されます。

 脅威を感じたライバルの悪狸・見明凡太郎は、ライヴァルに刺客を差し向けます。怪我した阿波狸の統領の名代として、いつも人間に化けて失敗ばかりしている若狸コンビ・市川雷蔵勝新太郎が広い世間をタダで旅行できると言うプレミアム目当てに立候補、人間の弥治喜多道中を繰り広げて一路江戸へ向かうことになりました。途中、悪狸の娘のお色気狸・中田康子が手下とともにいろいろと悪さを仕掛けますが最後は無事に江戸へたどり着き、悪狸も改心して大団円を迎えるのでした。

 市川雷蔵と勝新太郎が江戸まで旅をするんですけど、とにかくこの二人が巻き込まれる災難がマヌケで可笑しいんです。もちろん現代のセンスとテンポじゃないですけど。

 いつもは尻ばしょりの若衆で正体は狸。狸らしく茶髪のヅラ(しかもほとんど金髪に近い代物である)というのが凄いでしょう?ミュージカルですから道中、立ち寄る宿場毎に地元の名物を歌と踊で紹介していくのが物語のメインフレームです。楠トシエ五月みどり(わ、若い!)ら当時のコロムビアの人気歌手が顔を出します。ところで筆者、この作品で初めて赤坂小梅っていう人を見たんですけど、なんていうか小梅っていうか巨大梅でしたね。

 市川雷蔵に惚れている娘狸が若尾文子。ところが阿波狸の統領のお嬢様・近藤美恵子が横恋慕します。若尾が雷蔵との逢瀬を夢想する日舞のシーンは、スモークをガンガン焚いたステージに大階段が出現してまるで気分だけは、MGMのミュージカル。そこへ和服でマゲを付け、オーストリッチの羽扇を両手に舞う、雷蔵と若尾が登場しますさすがに市川雷蔵の踊は見事ですけど、なんかこうものすごーく面喰いました。

 雷蔵に比べてちょっとオッチョコチョイなのが相棒の勝新太郎です。性悪狸の中田康子にポーっとなってトラブルを連発。勝は柔道着をオシャレにしたような衣装でやはり中田康子とコンガのリズムに乗って情熱的なダンスを繰り広げます。時代劇の流れの中で、ここだけすごく唐突ですが、まあミュージカルなんだから、いいか、って感じです。

 どーせ中田康子が永田社長にオネダリしたんだろうし、どうせなら雷蔵さんが相手のほうが嬉しかったのでは?と余計な老婆心ですが。

 きわめつけは雷蔵と勝のデュエットです。「俺たちゃ〜ボンパッパ〜二人そろって一人前」てな書くのも恥ずかしいようなオメデタイ歌詞の歌を軽妙な踊とともに振り下げ担いだ旅人姿で歌います。前作「初春狸御殿」のときは思いっきり吹き替えだった市川雷蔵、生歌聞けるのは貴重ですよね。

 ラストは出演者が勢ぞろいしたレビューシーン。全員、きらびやかな衣装をまとって舞い、踊ります。このときの勝新太郎のアブラギッシュな「アイラブユ〜」は聞き物ですよ。こ、濃すぎてゲップ出そう。

 エンディングの大映の新進女優によるレビューシーンはお宝。ざっとあげとくと宝塚出身の浦路洋子、若山富三郎の奥さんだった藤原礼子、「花の白虎隊」でデビューした小町るみ子、蛇女優の毛利郁子、ほら見たいでしょ。

1996年08月23日

【追記】

※本文中敬称略


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■日のあたらない邦画劇場■

file updated : 2003-08-17