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暗黒街の対決


■公開:1960年
■制作:東宝
■監督:岡本喜八
■脚本:関沢新一
■原作:
■撮影:山田一夫
■音楽:佐藤勝
■美術:阿久根厳
■主演:三船敏郎
■寸評:キザもここまでいけば様式美。


 ある地方都市で地元やくざと新興暴力団が、砂利採取の利権を争っていました。そこへ東京から収賄、暴力、違法逮捕、等で左遷させられた刑事がやって来ます。札つき刑事の正体は暴力団対策の特命を受けていたのでした。

 刑事の三船敏郎はとてもおシャレでモダンです。ほかの作品では絶対にお目にかかれないくらいイキなオニーさん。のらりくらりとしていていつの間にか、二つの暴力団を壊滅させてしまいます。三船敏郎の荒々しくて土臭い芝居に見慣れているのでとても新鮮ですね。こういう魅力もあったのかと再認識、スーツにトレンチコートをここまでカッコヨク着ちゃうのって三船さんくらいなもんじゃないかと、本当に惚れますね。

 新興勢力に女房を殺された(事故に見せかけて)鶴田浩二が経営しているバーがもうまんまの西部劇スタイル。そこへ車で乗り付けた黒づくめの殺し屋がマシンガンで一斉射撃を敢行、ギャング映画にウエスタン風味。岡本監督の趣味がモロに出てますね。

 暴力団の親分河津清三郎。手下の中丸忠雄や悪徳弁護士の平田昭彦(様)、歌まで歌っちゃう殺し屋チーム(天本英世ミッキーカーチス、ら)がいて、こっちがアメリカのギャングスタイル。対する地元やくざは着ながし親分の田崎潤、大和魂の佐藤允、足は洗っているが鶴田浩二を擁したこちらは日本の伝統的な仁侠スタイル。やくざ同士の日米対決なんですね。

 最後の銃撃戦でとっくにパクられたミッキーカーチスが、キャバレーのマネージャーである中丸忠雄を「柴田さん(役名)、ちょっと、、」と呼びます。「ったく、この忙しいのに!」と、撃ち合いの最中に中丸忠雄が寄っていくとガチャン!と手錠がかけられます。呆気にとられて連行されて行く中丸忠雄の背中に「ボクのギャラ、どうなってんスか?まさかパーじゃないっすよね?」と間抜けな質問をかますミッキーカーチス。

 ニクッタラシイ悪役やっててもなーぜーか憎みきれない中丸忠雄と、根っからのミュージシャンであるミッキーカーチスによるこのシーン。私、ここんところが一番、好きです。

 当時の風俗であるファッションや車も今見るとなかなかカッコイイですね、レトロで。後ろが飛行機みたくなっているスポーツカーとか、泥臭いところが全然ない、こんなのが40年以上前に作られてたんですよ、日本でね。

1996年08月22日

【追記】

※本文中敬称略


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■日のあたらない邦画劇場■

file updated : 2003-08-17