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メカゴジラの逆襲


■制作:東宝映像
■監督:本多猪四郎
■脚本:高山由紀子
■原作:
■撮影:富岡素敬
■音楽:伊福部昭
■美術:本多好文
■特撮監督:中野昭慶
■主演:佐々木勝彦
■寸評:旧ゴジラシリーズ史上最悪の客の入り。


 「日本映画の現場は汚くて暗くて最悪」役者として鳴かず飛ばずでロクな仕事が来なかったあなたが言っても説得力ゼロ>麻里とも恵(現・阿川泰子)、ただし「真赤な嘘」じゃないところがミソ。

 ブラックホール第三惑星人に再建されたメカゴジラ(サイボーグゴジラ)が本物と対決します。宇宙人の手先にさせられるのが古代怪獣チタノザウルス。恐竜の存在を主張して学界から追放された生物学者・平田昭彦(様)が実験中の事故で瀕死の重傷を負った娘の命と引き替えに宇宙人に協力させられて、チタノザウルスをコントロールさせられています。娘・藍とも子はサイボーグとしてメカゴジラのコントロールマシンになってます。

 博士はサイボーグ娘の操縦によるメカゴジラと頭にマイクロチップを埋め込んだ古代恐竜のチタノザウルスとともに、本家ゴジラに闘いを挑みます。事態を重く見た国際警察の捜査官とともに調査に訪れた海洋研究員・佐々木勝彦と恋に落ちたサイボーグ娘は、自らの命を絶つことでメカゴジラを葬ろうとします。コントロールを失ったチタノザウルスとメカゴジラをゴジラが粉砕します。

 宇宙人の親玉・睦五郎、その手下・伊吹徹。ヘルメットが「マグマ大使」風。コスチュームが銀ラメのボンデージスーツ。睦五郎の腹の出具合が少々オヤジっぽかったと言うか、親しみやすくてグーでした。マッドサイエンティストの平田昭彦はこれが最後ですね?ゴジラ映画は。白髪のかつらをかぶって大暴れするその姿におもわず目頭が熱くなりますねえ。

 復活メカゴジラは結構強くてミサイルをがんがん撃ってゴジラを血まみれにしちゃいます。円谷監督は「ゴジラに血を流させてはいけない」と言っていたはずですが、まったく、愛弟子の火薬馬鹿ったらロクなことしませんね!プンプン!

 人間様のほうに目を向けてみましょう。ゴジラと戦うのは自衛隊と国際警察。強盗犯人つかまえたりだけじゃないんですね警察は。自衛隊の偉い人・佐原健二、国際警察・中丸忠雄、その部下・内田勝正なかなか頼もしいメンツ、にしても、とても国家公務員には見えないルックスですけどね。海洋生物の科学者で冨田浩太郎の姿も懐かしいですね。「恐怖劇場アンバランス」で吸血鬼だった人ですね、って誰も知りませんかね。この人が書いた「俳優の音声訓練」は俳優養成所の教科書として有名ですよ。

 そんなこんなでこの作品を最後に東宝はしばしゴジラを冬眠させることになっちゃいました。

 観客動員の落ち込みとか当時のお家の事情はありますが、本多監督が訴え続けた「人間よ奢るなかれ」というメッセージはこの作品にも脈々と受け継がれていたと思うんですが、時代がそのメッセージを受け入れなかったと言うことなんじゃないですかね。この作品の後は、人間の味方=正義、という時代がしばらく続いて、最近の怪獣映画のほうに本多監督のコンセプトがさらに明確に蘇った感じがします。

 映画は時代のモノですから。時代を超えて再評価されることもあります。この作品はそういうふうになるんじゃないですかね。

1996年08月22日

【追記】

※本文中敬称略


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■日のあたらない邦画劇場■

file updated : 2003-08-17