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吸血怪獣ヒルゴンの猛襲(Attack of the giant leeches)

□公開:1959年
□製作:AIP
□製作:ロジャー・コーマン
□脚本:レオ・ゴードン
□監督:ロジャー・コーマン
□音楽:アレクサンダー・ラズロ
□出演:ケン・クラーク、イヴェット・ヴィッカーズ、ジャン・シェパード、マイケル・エメット、ジョージ・シーザー

★ネタバレしてますよ

あらかじめことわっておくが本作品に「ヒルゴン」という名前の怪物は登場しない。等身大で全身に吸盤がついている怪物らしきものは登場する。

DVDのジャケ写には石油を食らう怪獣のぺスターのような怪獣が描かれているが正しくは2体である。

禁漁区に指定されている沼でカワウソの密漁をしていた呑んだくれのジョージ・シーザーがタコみたいな怪物に散弾銃を撃ちこんだと酒場で仲間に説明するが誰も信じてくれない。

村に一軒しかない酒場の若妻イヴェット・ヴェッカーズは元踊り子、現在は経営者で初老のブルーノ・ヴェソタの妻である。 自然保護官のケン・クラークは密漁を摘発するために生物博士の娘で婚約者のジャン・シェパードとともに沼に来て、ついでに濃厚なラブシーンをしていたところ、シーザーが泥まみれになって息絶えるのを目撃した。

保安官は事故だと処理したがどうも変だと思ったクラークは昼間ボートで沼を調査したが何も見つからなかった。

その夜、イヴェットは村の若い衆ミハエル・エメットと沼のほとりで浮気していたがその現場にヴェソタが乱入し二人を沼に追いつめると背後に怪物が現れて二人を連れ去った。

保安官が沼を捜索したが二人の遺体は見つかず殺人の嫌疑で逮捕されたヴェソタは無実を訴え留置所で首つり自殺してしまった。 博士は沼にダイナマイト仕掛けて怪物を退治しようと言い出すが自然保護の観点からそれはダメだとクラークは許可しなかった。

怪物退治に乗り出した密漁仲間もまたボートに乗っているところを怪物に襲撃されて行方不明になる。 怪物たちはビーバーのように水中から出入りする巣を持っていて誘拐された被害者たちは吸血されたのち保存食として巣に保管されている。

怪物は全身に吸盤がついているが捕食するときは顔面の巨大な吸盤(ぱっと見は肛門のようだが出てくるんじゃなくて吸う)つまり巨大なヒルのようにエサの生き血を吸うのである。 すでに4人または5人が怪物によって犠牲になっているのである。

博士とシェパードはこれ以上犠牲者を出してはならじとクラークのところへ押しかけダイナマイトによる掃討作戦の実施を迫るが慎重居士のクラークはとりあえず潜って沼を調べてからでないと許可しないと言う。しかし学者の好奇心によりダイナマイト作戦は実行され巨大振動により怪物の巣から瀕死の犠牲者たちが水中に転落してぷかぷか浮かび上がってくる。

ほとんどの犠牲者は力尽きたがヴァンプのイヴェットだけは生還しついに怪物の存在が明らかになる。

自然保護より人命優先、いつだって人間はそうだったという理に忠実になることを決意したクラーク。保安官助手とともに沼に潜水したところエサを盗られて逆上した巨大ヒルが襲撃してくるも水中銃で手傷を負わせることに成功。

手負いの怪獣は手におえないということで今一度、ダイナマイト作戦が実行されて巨大なヒルの怪物は息絶えたのである。

しかしこの映画はとことんデブを差別する映画なのである。 まず飲んだくれのシーザーはあんなデブの言うことなんか(とは言ってないけど)とバカにされ、自殺するほどの愛妻家だったヴェソタはその愛妻から「醜いデブ」と蔑まれる。

それと必要以上にしつこいラブシーンとかあるがそこはそれあまりに怪物に予算がかけられなかったので黒いビニールに吸盤貼りつけただけだしそこで尺が稼げないので苦肉の策だと言うことにしておこう。

密漁で生計をたてるようなことをしていると罰が当たるんですよ。 この映画は他に産業を起こす術もやる気もない田舎町の閉塞感が生んだ悲劇なのであって決してとってつけたようにヒルの怪物を出したわけでもなく何が何でも放射能の影響にしとけばいいんじゃね?というような安直な映画ではなく自然保護を強く訴求したネイチャームーヴィーなのである。

なんか「おいてけ堀」みたいな話でもあるがね。

(2014/01/05)