ハ ワ イ の 今 昔

ホノルルをはじめて訪れたのは1960年のクリスマスの日です。仕事でシカゴの郊外に三ケ月程滞在して、帰国の途次一休みしようと思って立ち寄りました。日米太平洋路線にジェット機が就航したのがこの年だったと思いますが、この頃は羽田を飛び立ってウェーキとホノルルで給油しサンフランシスコに到着しました。勿論、米国内はプロペラ機が飛んでいました。
ホノルルの空港も今のモダーンな建物ではなく、竹を半分に縦割りにしたものを張り付けた柱を使った南国風のエキゾチックな建物でした。ワイキキにも今程近代的なリゾートホテルは沢山なく、カピオラニ公園のダイアモンドヘッドよりにある日系人経営のこじんまりしたホテルに泊まりました。朝夕の食事には着物姿の日系女性がお客一人に一人付いてご飯をついでくれたり至れり尽くせりのサービスでした。見かける日本人の姿も少なく、ワイキキの浜辺で終日寝ころんで三日間のびり過ごしました。この頃日本にはまだインスタント・コーヒーとかシームレス・ストッキングとかなく、土産に一杯買って帰った記憶があります。
現在は正月シーズンにハワイを訪れると、右を向いても左を向いても日本人ばかりで外国にいる感じがしません。おじーちゃん、おばーちゃん、小学生位の子供二人位に乳幼児を乳母車に乗せた夫婦と一家族総出できている人達も沢山見かけます。18年前、家内をつれてハワイ旅行をした頃は添乗員が付いたグループ・ツアーが殆どでしたが、現在はグループ・ツアーはほとんどなく単独でコンドーミアムを利用するものから高級ホテルのオーシャン・ビューの部屋に泊るものまでヴァライアティに富んできました。日本の大手旅行会社もホノルルだけでなく、マウ島でもハワイ島でも無料バスを運行しショッピングや遊びに不自由することは何もなく、隔世の感があります。ホノルルには大きいショッピング・センターも随分と増えましたが、今やお土産に買って帰るものもなくなりました。ウイスキーでもブランド品でも日本のヂスカウント・ショップで買った方がかえって安いくらいです。
そうは言いながらも、冬の寒さが身にしみる頃になるとまたいってみたくなるのが常夏の国ハワイでしょうか。

(2000.7)